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南京事件論争史 の商品レビュー

3.6

9件のお客様レビュー

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2019/05/11

南京事件に関して史実の解明とそれに対する否定派の論争をまとめたもの。これだけ史実として認定されているのに、否定する人たちは史実かどうかではなく、なかった事にしたいのだなと良くわかった。

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2017/03/28

南京事件全否定や過小評価は、いわゆるヘイト本でしつこくあがったテーマであるし、今話題の”日本会議”の主な主張内容の一つでもある。しかし、彼らの主張する南京事件否定論の内容のほとんどが、すでに東京裁判において論破された最終弁論の劣化コピーということがわかってゲンナリさせられる。しか...

南京事件全否定や過小評価は、いわゆるヘイト本でしつこくあがったテーマであるし、今話題の”日本会議”の主な主張内容の一つでもある。しかし、彼らの主張する南京事件否定論の内容のほとんどが、すでに東京裁判において論破された最終弁論の劣化コピーということがわかってゲンナリさせられる。しかも主張している人の中には、旧帝大クラスの大学教授や閣僚クラスの政治家が居るという現実に暗澹とした気持ちになる。

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2017/01/15
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2007年刊行。南京大虐殺事件につき、東京裁判から現代までの学説・論争をまとめ、その問題点等を解説したもの。多くの文献が批判的にも肯定的にも挙げられており、論争(論争すらなっていない観もあるが)を俯瞰的に見るには有益。マンガの影響力、大手出版社の影響力の大なることを痛感。なお、虐殺人数はともかく、虐殺否定説は①東京裁判弁護人側証言・宣誓口供書の内容を否定する具体的事実(弾劾証拠では足りない。積極証拠が必要)か、作成過程の任意性否定の事実、②日本軍人・外国人の肯定証言を覆滅する材料が求められるのではないか。 それにしても、①史料の改竄・捏造、②証拠の牽強付会、③脅迫的言動は如何なものか。また、東京地裁で名誉毀損の認定を受けた何某の学者としての言動も如何なものだろうか。

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2014/03/29

 大学時代に日本史を専攻した人間として、南京における日本軍の所行について、犠牲者の数はともかくとして、さすがに「なかった」まで言われることはないだろう……と思っていたのだが。授業で近現代史まで到達しなくなった……なんてハナシも聞くにつれ、ちょこっとばかり不安に。小林よしのりの著作...

 大学時代に日本史を専攻した人間として、南京における日本軍の所行について、犠牲者の数はともかくとして、さすがに「なかった」まで言われることはないだろう……と思っていたのだが。授業で近現代史まで到達しなくなった……なんてハナシも聞くにつれ、ちょこっとばかり不安に。小林よしのりの著作やら、それに対する密林のレビューなど読むにつれ、暗澹とした気分に。というあたりで、「南京事件」そのものというよりも、「南京事件についての論争」についてのまとめが新書で出るというのは、ありがたいし、価値のあることだと思う。  歴史学者らしいというか、たいへん緻密かつ整理された筆運び。事件と同時期に書かれた関係者の手記・新聞報道などに言及する第一章、東京裁判の第二章を経て、1970年代の「本田勝一VSイザヤベンダサン(山本七平)論争、現代にまでいたる「論争」主要キャラクターが出そろう1980年代の論争、いったんは決着したかに見えた90年代前半、そして「つくる会」勢力を中心とした学問的には不毛の論争が繰り広げられた直近まで、ていねいにおさらいしてくれている。  南京事件はこれだけの「論争」になったことから、史料・証言が掘り起こされ続け、事件から何十年もの時間を経ても生き続け、あらたな断面が切り開かれ続けた。そこで問われるのが、史料・史実に対する姿勢だ。いま生きている人に都合がいいように「歴史」は解釈されるべし、という立場もあるだろう。しかし、昔何があったかということについて極力主観を廃して追究すべしというのは、学問としては当たり前の態度であると思う。南京事件「まぼろし派」の著作と本書を比べたときにまっさきに違いが明らかになるのは、歴史的事実についての「フェアネス」というか、文献に対する真っ正直さである。本書には論争の経過に連れてあらたに得られた記録について、「史実派」「まぼろし派」がどのような対応をしていったのかが描いてあり、そこがたんに「南京事件はあったか、なかったか」本とは違うポイントになっている。

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2013/12/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読了してひどく徒労感に襲われた。新書で論争史をたどっただけでそのように感じるのであるから、実際論争の当事者となっている著者等の実感はいかばかりか、想像に難くない。それでも「あとがき」で南京事件の史実の解明がすすんだのは、否定派との論争があったればこそ、と評価する余裕を見せるあたりのプラス思考には頭の下がる思いがする。 結局のところ、「否定派」のロジックとは、「史実派」の検証作業の矛盾点を洗い出し、部分的に少しでもおかしいと指摘できるところがあれば、それを梃子に事件そのものの否定に繋げていくことにある。そしてその作業にも手詰まりとなれば、「史実派」の構築した事実関係そのものが「陰謀」「謀略」「洗脳」の結果であるとしてオカルト的な陰謀論に逃げ込む。史実などどうでもいい、中身はボロ負けでもタイトルだけは威勢よく「大虐殺説にとどめを差す」などとしておけば「南京事件は無かったのだ」と信じる者が少しでも増えるだろうし、同じ内容の繰り返しでも本を出し続けることに意義がある。最早学術論争でもなんでもない、このようなレベルの輩との「論争」に「決着」など端からつくはずもない。我々はせめて「どっちもどっち」などという安易な結論に流されること無いように、といいたいところだが、これも結構な数のマスコミ、読者(ここの「ベストレビュアー」にもその類が散見される)が「否定派」を支持しているのが現実かと思うと、平成二十年もそう明るい年とはなりそうもない。

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2013/07/28

南京事件論争について勉強しようと思って読んだ一冊。南京事件肯定派の著者ではあるが、南京事件があったか、なかったという意味での論争では、「あった」ということで決着がついていることに納得できた。人数に諸説あることについては、投降兵を対象者に含めるかどうかといった定義の問題であるという...

南京事件論争について勉強しようと思って読んだ一冊。南京事件肯定派の著者ではあるが、南京事件があったか、なかったという意味での論争では、「あった」ということで決着がついていることに納得できた。人数に諸説あることについては、投降兵を対象者に含めるかどうかといった定義の問題であるということも理解した。全体として、南京事件論争の流れと肯定派の論理、否定派の問題点がわかる良書だと思うが、全体の論調として、筆者の偏見のようなものも垣間見られるのは気になった(例えば、肯定派は市民の側で、否定は自民党政権を中心とする支配層側の動きであるとみなしているような論調)。

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2011/05/25

[ 内容 ] 一九三七年一二月、南京市を占領した日本軍は、敗残・投降した中国軍兵士と捕虜、一般市民を殺戮・暴行し、おびただしい数の犠牲者を出した。 この「南京事件」は当時の資料からもわかる明白な史実であるにもかかわらず、日本では否定派の存在によって「論争」がつづけられてきた。 事...

[ 内容 ] 一九三七年一二月、南京市を占領した日本軍は、敗残・投降した中国軍兵士と捕虜、一般市民を殺戮・暴行し、おびただしい数の犠牲者を出した。 この「南京事件」は当時の資料からもわかる明白な史実であるにもかかわらず、日本では否定派の存在によって「論争」がつづけられてきた。 事件発生時から現在までの経過を丹念にたどることで、否定派の論拠の問題点とトリックを衝き、「論争」を生む日本人の歴史認識を問う。 [ 目次 ] 序章 世界に注目される日本 第1章 「論争」前史 第2章 東京裁判―「論争」の原点 第3章 一九七〇年代―「論争」の発端 第4章 一九八〇年代―「論争」の本格化 第5章 一九九〇年代前半―「論争」の結着 第6章 一九九〇年代後半から現在―「論争」の変質 終章 真の学問的論争を願って [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/10/07

筆者の笠原さんに言わせれば南京事件があったかどうかはすでに決着がついていることで、これからはむしろ南京事件とはなんであったか、その全体像を解明する段階に入っているという。善良な日本人がなぜそんなことを起こしたのか。日本人ならだれでもやったのかというとそうでもない。それはある意味起...

筆者の笠原さんに言わせれば南京事件があったかどうかはすでに決着がついていることで、これからはむしろ南京事件とはなんであったか、その全体像を解明する段階に入っているという。善良な日本人がなぜそんなことを起こしたのか。日本人ならだれでもやったのかというとそうでもない。それはある意味起こるべくして起きた。日本人のために考えるなら、この事件の前段階である上海事変とのかかわりがすでに指摘されている。本来の計画には南京攻略はなかったのだ。南京事件を否定しようという人たちは、そのためにいくつもの手をもっている。まずはそれが東京裁判で急にでてきた連合国側の謀略であるという説だ。しかし、当時の参謀本部がそれを知っていたことは周知の事実である。国民が知らされなかっただけだ。それがなりたたなくなると、あれこれ手を変えて否定にかかる。南京事件否定派の手口は自分たちに都合の悪い事実、資料はふせて、ちょっとでも怪しい資料や写真があると、鬼の首をとったように問題にすることだ。中国は30万人犠牲説をかかげ、これがおかしいという人も多いが、問題は数ではなく、国際的にも申し開きのできない虐殺、強姦、略奪があったことを認めるべきではないだろうか。

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2009/10/04

ドイツは面白い。居酒屋で日本人が来ていると判ると、次はイタリア抜きでやろうと声をかけてくる。もちろん冗談ではあるけれど。しかし、そういう状況でない限り、戦争に対するドイツ人の考え方は厳格で、ナチを認めるような発言は絶対に聞かないし、ユダヤ人収容所で起きたできごとを否定するなんて誰...

ドイツは面白い。居酒屋で日本人が来ていると判ると、次はイタリア抜きでやろうと声をかけてくる。もちろん冗談ではあるけれど。しかし、そういう状況でない限り、戦争に対するドイツ人の考え方は厳格で、ナチを認めるような発言は絶対に聞かないし、ユダヤ人収容所で起きたできごとを否定するなんて誰もしない。肉親にナチ党員がいただけで自分の罪のような顔をする。 南京事件について、確かに私の知識も教科書からではない。教科書には大したことが書かれていないのだ。もちろん真珠湾攻撃についてもだけれど。 どうしてこの事件が嘘だという話が繰り返し蒸し返されてきたのかがわかった気がする。終わった議論を蒸し返しているのだ。実に不毛だ。 それにしても日本の歴史学者って、こんなにレベルの低い人が多くて大丈夫なんですか、と本気で思う。もっと言うと南京事件がなかったと発言する人々が「ゴーマニズム宣言」とレベルが同じだという情けない歴史認識で大学の教壇に経っているという事実に驚いた。しかし、南京事件が確かにあったと語っている人々も本多勝一を今でもありがたそうに担ぎ出していることにも驚いた。この独善的で貧困な才能に頼らざるを得ないのか。 どちらも何も変わっていないのではないかと思った。

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