成功する企業提携 の商品レビュー

西村泰洋【著】

2018/10/08

富士通にて戦略提携実務の担当者であった著者による、企業間提携のガイドである。

企業におけるバリューチェインの構築とそれを垂直的に統合するかどうかの理論的な背景については、戦略論の中心的議論であり、必要な機能を外部から調達する手段としてM&Aや提携が多く論じられている。一方、M&Aに関する書籍は数多くあれど、企業間提携に関するものは意外に少ない。

M&Aが企業価値算定を含む定量的な考察が不可欠であり、
本書は、提携の戦略的な意義についても触れられているが、むしろ大きな価値は著者の実務的な経験から基づく、提携に伴う業務を要素に分解し、実際の相手先とのコンタクトから交渉、実施にいたるまでの過程について解説している点にある。特に、最後のほうに描かれている実際のケーススタディは、普段表に出ることのない交渉の舞台裏を垣間見ることができ貴重である。こうした業務は、依然限られた人達の中でしか行われていないことを考えると、経験が不足している者にとっては十分参考になる。
いかんせん、著者の限られた経験の中で描かれているため、理論的に一般化できるほどではなく、行間のスペースも大きく、本文の量は１６０ページにも満たない。それを考慮すると値段は少し高めに感じる。

2011/03/16

富士通にて戦略提携実務の担当者であった著者による、企業間提携のガイドである。企業におけるバリューチェインの構築とそれを垂直的に統合するかどうかの理論的な背景については、戦略論の中心的議論であり、必要な機能を外部から調達する手段としてM&Aや提携が多く論じられている。一方、M&Aに関する書籍は数多くあれど、企業間提携に関するものは意外に少ない。M&Aが企業価値算定を含む定量的な考察が不可欠であり、本書は、提携の戦略的な意義についても触れられているが、むしろ大きな価値は著者の実務的な経験から基づく、提携に伴う業務を要素に分解し、実際の相手先とのコンタクトから交渉、実施にいたるまでの過程について解説している点にある。特に、最後のほうに描かれている実際のケーススタディは、普段表に出ることのない交渉の舞台裏を垣間見ることができ貴重である。こうした業務は、依然限られた人達の中でしか行われていないことを考えると、経験が不足している者にとっては十分参考になる。いかんせん、著者の限られた経験の中で描かれているため、理論的に一般化できるほどではなく、行間のスペースも大きく、本文の量は１６０ページにも満たない。それを考慮すると値段は少し高めに感じる。