ヘンリー八世 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
他の史劇より時代が下るせいか、史劇なのに戦乱が起こっていないのが不思議な印象を受けた。この作品では(でも?)王の存在感が薄く、ウルジーとキャサリン王妃の対決と没落の方が印象に残る。 一方、クランマーを陥れようとの陰謀を王が阻止するシーンは、史劇というより喜劇(『尺には尺を』の公爵のような)の趣がある。戦争中の史劇であればクランマーは処刑されていたのではないか。
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これがヘンリー八世えぇぇ?というのが正直な感想である。何もかもきれいごとで、しかもアン・ブーリンと結婚したところで話が終わってしまう。現代の作家なら絶対こんな風に書かないだろう。でも現代の作家じゃないからなあ、シェイクスピア。 思うにこの戯曲の目的は、ヘンリー八世の人生のドラマを...
これがヘンリー八世えぇぇ?というのが正直な感想である。何もかもきれいごとで、しかもアン・ブーリンと結婚したところで話が終わってしまう。現代の作家なら絶対こんな風に書かないだろう。でも現代の作家じゃないからなあ、シェイクスピア。 思うにこの戯曲の目的は、ヘンリー八世の人生のドラマを描くことよりも、関係者を美化しておめでたい気分を盛り上げることにあるのだろう。だいたい当代の王はヘンリー八世からまだたったの二代目で、批判的なことなど書けるわけもないのだ。というわけで事情は認めるが、いっこうにおもしろくなかった。ほかの人はこれ、おもしろいのだろうか。 ところで、バッキンガム公の別れの台詞の一部が、エドマンド・クリスピンの小説のタイトルに使われている。『永久の別れのために』。しかし、小説そのものにはこの言葉を思わせる箇所はないのだ。なぜこの台詞を引用したのか、戯曲そのものを読めばわかるかも、というのが本書を読んだ動機である。ちっともわからなかった。
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史劇。ただし、他の史劇とは一線を画する。シェークスピア晩年のためかそれとも戦争のない少なくとも表面的な平和のためかとにかく落ち着きがある点において。むしろ、ロマンス劇の要素を多分に含むと考える。 そもそも、合作説を信じてよんだためバイアスがかかっているかもしれないが、個々のエピソ...
史劇。ただし、他の史劇とは一線を画する。シェークスピア晩年のためかそれとも戦争のない少なくとも表面的な平和のためかとにかく落ち着きがある点において。むしろ、ロマンス劇の要素を多分に含むと考える。 そもそも、合作説を信じてよんだためバイアスがかかっているかもしれないが、個々のエピソードをつぎはぎにしたイメージが強い。ただ、キャサリン王妃、ウルジー枢機卿の描き方は賞賛に値する。 なお読むより見たほうが面白いと思う。
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