したたかな生命 の商品レビュー
かなり平易な文章でシステムバイオロジーの世界を説明してくれる。値段もそこまでするものでもないし、買って読んでも良いし、難しくないから立ち読みでも読み終わりそう。 システム系の科学の分野の考え方は他分野を繋いでいる部分が多いから、一言でシステムといっても非常に色々な場面、分野が出...
かなり平易な文章でシステムバイオロジーの世界を説明してくれる。値段もそこまでするものでもないし、買って読んでも良いし、難しくないから立ち読みでも読み終わりそう。 システム系の科学の分野の考え方は他分野を繋いでいる部分が多いから、一言でシステムといっても非常に色々な場面、分野が出て来る。この本でもそうである。遺伝子、分子レベルの話しから飛行機などの機械や会社のような複合体まで モノではなく、コトの学問であり、コトがいかにして成立しているかを解き明かしていく。 コトという状態を考える上でも、なにかとなにかの境界を考える事は重要である。体内の免疫系が持つ膜がなぜ硬い殻でなく、柔軟なしなやかさを持ち、なぜ単細胞から多細胞生物へと進化を遂げたか、それらを境界、関係性という観点から考え直させる。 その中には、建築空間をモノではなく、コトとして捉える一つの在り方が描かれているように思う。建築空間におけるモノや部屋は記号ではなく、細胞のようだ 治療、創薬の話も、そう考えると楽しくなる。 どのような細胞を生かし、どのような細胞を殺すか、副作用を起さないようにネットワークを捉えつつ、 それはリノベーションや空間療法への新しい知見を提案してくれるように思われる。
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「ロバストネス」をキーワードとした良書。 ロバストネスとは、しなやかな、したたかな強さのこと。 対:フラジャイル、もろさ 類:ホメオサタシス(ただし、ホメオスタシスが一定の状態を保つことであるのに対し、ロバストネスはそうとは限らない。) ロバストネスを向上させる4つの方法 1...
「ロバストネス」をキーワードとした良書。 ロバストネスとは、しなやかな、したたかな強さのこと。 対:フラジャイル、もろさ 類:ホメオサタシス(ただし、ホメオスタシスが一定の状態を保つことであるのに対し、ロバストネスはそうとは限らない。) ロバストネスを向上させる4つの方法 1)システム制御 2)冗長性+多様性 3)モジュール化 4)デカップリング 1)システム制御 フィードバックによる修正 2)冗長性+多様性 故障があっても直接パフォーマンスに影響させない(腎臓が二つあれば一つだめになっても大丈夫、のように) 3)モジュール化 細分化することで一部が壊れても全体までには影響させない。 4)デカップリング ノイズを消去する いくらでもロバストにできるか? Ans.むり。 Because:ロバストネスと、フラジリティ(ぜい弱性)と、性能と資源の4つがトレードオフ関係にあるから。
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久しぶりに知的好奇心を刺激された一冊。したたかでしぶとい生き物の仕組みに驚き。しかしがん細胞などはそれゆえにやっかいで・・うーん。私も会社でロバストにやっていこう。
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ロバストネス=しなやかな強さ、強靭さ。という観点から、生物、飛行機、糖尿病、癌、企業経営などをシステム的に考察した知的な本だ。哲学的でもあり、ちょっとわかりにくいけど、読後は心地よい感覚が残る。
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複雑系の生命科学について。この本で初めて知ったが、北野宏明さんというのはなかなかのようだ。ちょっと各論に偏りすぎで、せっかくの面白い分野なので総論がもう少しあってもよかったかも。生命体が、少々の環境変化に対して恒常性を維持できるように、外部からの擾乱に対してその機能を維持すること...
複雑系の生命科学について。この本で初めて知ったが、北野宏明さんというのはなかなかのようだ。ちょっと各論に偏りすぎで、せっかくの面白い分野なので総論がもう少しあってもよかったかも。生命体が、少々の環境変化に対して恒常性を維持できるように、外部からの擾乱に対してその機能を維持することを、ロバストである、と言う。ある種の擾乱(もしくはパフォーマンスやリソース)に対してロバストさを向上させることは、想定外の擾乱に対して脆弱になってしまうというトレードオフが「必ず」存在するので、一見手ごわそうな病原体でも見方を変えると弱点が見えてくる。ロバストなシステムはモジュラー構造になっており、モジュール間はweak linkageで接続される。フィードバック、冗長性、デカップリングといった特性が挙げられている。
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