哲学の歴史(第8巻) の商品レビュー
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p.315-376 ベンサム 土屋恵一郎 ・功利主義者 ・最大多数の最大幸福(最大幸福の原理):身体的な快感を最大化し、苦痛を避けること=効用 ・道徳と法の革新が必要。法律が関わる事柄の中心は苦痛と快楽以外のものではない。快楽を増大し、苦痛を減らす改革を考えれば問題は解決する。 ・イギリス法の法典化が終生の課題。リンネの影響を受けて、分類し体系にしなければ気がすまなかった。法はパノプティック(panoptic パノラマ的な)に一望できるものでなければならなかった。 ・ベンサムの刑務所改革運動の中で考案された一望監視装置パノプティコンもしかり。 ・快楽の経済学、快楽の法哲学、パノプティックな世界。 フーコーの『監獄の誕生』で、ベンサムの監獄・懲治施設プランの「パノプティコン」を現代権力の原型であり、究極の体現であるとした。 ・ベンサムは弟ともにロシアに3年いた。ロシアからの書簡という形で『パノプティコン論』が書かれ、アイルランドとイギリスで1791年出版された。 ・本の表紙:「パノプティコン様式の監視建築 いかなる施設であれ、人間が監視下に置かれる場所に適用される新しい建設の原理。とくに、懲治監、監獄、工場、労役所、貧民収容所、作業所、精神病院、ハンセン診療所、病院、学校。」 ・本の冒頭にはフリーメイソンのマーク。(三角形の真ん中に眼球) ・パノプティコンは実現されなかった。独房というスタイルには雑居房での生活から囚人を解放するという意味があった。 ・首相のピットに当てた手紙:円形建築-周囲は独房-看守-中央監視所-独房と監視所のあいだは上から下まで吹き抜け、ドームの天井は通常は開けられて明り取りになっている。」「ブラインドと他の工夫によって、中央監視所の看守は囚人の目からは隠されている。看守の存在を示したほうがいい場合以外は。隠されていることによって、囚人の側には、つねに<不可視の遍在>(invisible omnipressence)にさらされているという感覚が生まれる。全体は、中央から少し動くだけで、必要ならまったく動くことなく見通すことができる。」 ・ベンサムの考え:不衛生な雑居房から囚人を解放するという善意に発していたように、その関心は、工場や学校を、整然として清潔が保たれた空間へと変えることであった。そこに規律があり、監視されているという意識が自発的な服従へと導くという願望があった。犯罪が起きるよりも起きる前に予防する、というのがベンサムの刑事政策であった。それが人間の自由をいかに無視しているかをベンサムは考えない。あくまでも、社会の技師として、暗さのない光に溢れた、隠れ場のない清潔な社会を構想していた。 ・現代は、このパノプティコンをきわめて効率的な監視の方法として選択しているのだ。監視者がいなくても人々は監視されているという意識のもとで自己規律を課して、犯罪に手を染めることはない。そう考えるのだ。われわれの社会は、そうした意味では、ベンサムの子孫であり、パンプティコンの継承者である。
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