地域をデザインする の商品レビュー
先日ご本人にお会いする機会があり、移住の大先輩に書籍をお借りして読みました。 内容は、自分がこれから実践したいと思っていることが、実践知とファクトをもとに書かれていて、まさに巨人の肩に立って見通しをクリアにし、いくらか生きて使える時間をショートカットできた気分。読後感がとてもよ...
先日ご本人にお会いする機会があり、移住の大先輩に書籍をお借りして読みました。 内容は、自分がこれから実践したいと思っていることが、実践知とファクトをもとに書かれていて、まさに巨人の肩に立って見通しをクリアにし、いくらか生きて使える時間をショートカットできた気分。読後感がとてもよいです。 2007年、14年前に書かれているものの、内容は少しも古びていない。一方で、ということは一方で提言されていることは目について社会実装されたわけではない、ということにもなる。当時私、まだ大学生ですね。 巻末で引かれている渋沢寿一さんの言葉が、なにより重い。 「持続的社会を可能にする精神基盤は、その土地で一生を終えようとする覚悟である」p.289 自分はといえば、ようやくこの頃「ああ、この場所で一所懸命に働いて、それで死ぬのかな」と少しは思えるようになってきた。 個人の実践を社会に波及させることはとても難しいし、時間がかかる。そもそも生活の実践は完成することはなく、個別に異なるから一般化、体系化も難しい。また政治と経済力で社会を動かすことにも限界はある。 最小公約数的にコモンズとして共有できることがあるとすれば、それはただ一点、渋沢さんが言うように、社会を構成する諸個人が自分と今いる大地、気候風土、コミュニティとつながりを持てているか問い直し、自分の精神的基盤を確認すること。そこから社会の持続可能性を芽をたぐるそれぞれの旅がはじまる。 そうした一般意志の総和が一定の水準を超えたときが、すでに環境破壊の物理的な不可逆点を超えていないよう、ただ地に根ざした地道な実践を続けていかねば……と、怠けがちな自分をそっと引っ張り上げてくれる一冊です。
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