目黒の狂女―中村雅楽推理手帖 の商品レビュー

戸板康二(著者)

2015/04/05

歌舞伎俳優中村雅楽が謎を解くミステリ。雅楽が歌舞伎俳優だから自ずと歌舞伎要素が多くなり、こういうのも演劇というか歌舞伎の用語だったのかなーと考えたりしながら読んでいた。表題作「目黒の狂女」は謎解きもだけど、落語の題みたいな語呂の良さと狂女の描写が素晴らしく、これですっかりのめり込んで一気に読んでしまった感じ。あとよかったのが「砂浜と少年」、「楽屋の蟹」。「砂浜と少年」は本当にすべてが少年ならではで、ここさえ生き抜いたらなんとかなったのに、と微妙な気持ちになりました。