百珠百華 葛原妙子の宇宙 の商品レビュー
“幻視の女王”葛原妙子の数ある歌の中から百首を選び、解説を付す。しかし、選んだのが塚本邦雄であるだけに、あたかも彼が作歌したような絢爛豪華な歌が並ぶ。また、その解説も微に入り細に入り、博覧強記と嘆息させる。「寺院シャルトルの薔薇窓をみて死にたきはこころ虔しきためにはあらず」「椿の...
“幻視の女王”葛原妙子の数ある歌の中から百首を選び、解説を付す。しかし、選んだのが塚本邦雄であるだけに、あたかも彼が作歌したような絢爛豪華な歌が並ぶ。また、その解説も微に入り細に入り、博覧強記と嘆息させる。「寺院シャルトルの薔薇窓をみて死にたきはこころ虔しきためにはあらず」「椿の花落ちて腐れし泥の窪ミノタウロスの落命おもほゆ」「ヘロデの王座冷えて遺らん 砂荒れてひろき死海のほとり」「人なき手術臺上に漂へりかの水上の城シュノンソオ」「疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた、ま、りあ、りあ、りあ」「あけがたのわが寝臺にちかづける帆船ありて人死に給ふ」「暴君ネロ石榴を食ひて死にたりと異説のあらば美しきかな」
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