裏ヴァージョン の商品レビュー
お互いを性の対象としている同士が何か行き違っても恋愛めいたうわ言やもしくは性行為によって一時的にでも事なきを得られることがあるのと違って(絶対では当然ないけど)、そうでない友達同士がすれ違う時は大変難しい。とはいえ友達同士でも密に関係し合う蜜月期もあれば相手にそれほど関心がなく...
お互いを性の対象としている同士が何か行き違っても恋愛めいたうわ言やもしくは性行為によって一時的にでも事なきを得られることがあるのと違って(絶対では当然ないけど)、そうでない友達同士がすれ違う時は大変難しい。とはいえ友達同士でも密に関係し合う蜜月期もあれば相手にそれほど関心がなくなったりする時期もあり、それは何となく恋愛めいた関係であるけれど、でもそこに性は介在しない…いっそのこと介在させれば楽なのか、でも介在させればさせたで新たな問題はきっと出てくるだろうと思うので、人間関係とは答えのないものだと改めて感じる。
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松浦さんのものを久しぶりに読んだ。大学生の時、同じ授業をとっている人に「今これ読んでる」と見せられたことがそういえばあった。このたび手に取ったのは文庫だが、単行本のデザインのほうがなんとなく好きだったりする。 仕掛けの多そうな小説だ、というのが最初の印象。 グラディスやらトリス...
松浦さんのものを久しぶりに読んだ。大学生の時、同じ授業をとっている人に「今これ読んでる」と見せられたことがそういえばあった。このたび手に取ったのは文庫だが、単行本のデザインのほうがなんとなく好きだったりする。 仕掛けの多そうな小説だ、というのが最初の印象。 グラディスやらトリスティーンやらが出てくるところあたりまで来た時に、次々と提示される物語になかなか頭を切り替えられず読むのをあきらめそうになったが、個人的にはここらあたりからが面白いところであると考える。 話が進むにつれ、いくつかの支流が生成されてくる。セクシュアル・マイノリティについて語られる流れであったり、昌子と磯子の若い時からの関わりについて想起させる流れであったり、小説家(松浦さん自身を部分的に指す?)としての生活に関して語られる流れであったりである。これら一つ一つの挿話が醸し出す雰囲気は、松浦さんの小説やエッセイを既に読んだ者からすると「ああこの雰囲気だったな」と感じられるものであるが、それらの一つ一つの流れが湧いてはお互いに絡まり合ったりするような構成の文章を読んでいての印象は、「小説」としての魅力に非常に富んでいる、というものである。「小説」にしかこういうことはできない、と思わされる瞬間が読みながら何回かあった。 その中で小説家としての生活について語られる部分が一番私の心の琴線に触れた。「裏ヴァージョン」で語られる昌子は、若い時に小説で新人賞をとっているが、担当とそりが合わなかったりで職業作家として書くことはあきらめた人として登場する。以下は多少妄想的な勝手な読みになるが、これは「世間に認められなかった松浦理英子」という像が、松浦さんのどこかにあって、その像と向き合うような作業を松浦さんがしているののではないだろうかと思ったのである。「性」の問題について果敢に挑む作家として、松浦さんは周囲からの評価を得ている。が、小説家として一定の位置を得るまでは、自分のものが果たして認められるか、という不安も多少はあったのではないだろうか。そして、その時に考えていた「性」にまつわる事柄の思いの輪郭のようなものを40歳という節目を迎えるにあたり、整理しておきたかったのではないか、なんて思ったりする。昌子や磯子という媒体を借りて、松浦さんが自身の内面に迫っていっているように思える時があるのである。昌子も磯子も松浦さんの分身だと思える時があるのである。 そして、そのことはあくまで本流ではなく、支流としてさりげなく描かれる。韜晦という言葉がとても示唆的。小説家としての一つの達成点を見たような気がし、とても充実した時を味わえた気がする。
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共感し過ぎて恐くなる。松浦さんの作品は私を脅かす。 現実と空想 わたしとかのじょ 境界線が無くなる。 顔だけ出して、水の中に身体を浸していると何処からが自分なのか分からなくなる。 そんな心持ち。 昌子は私です。 【韜晦】トウカイ 1)自分の本心や才能・地位などをつつみ隠...
共感し過ぎて恐くなる。松浦さんの作品は私を脅かす。 現実と空想 わたしとかのじょ 境界線が無くなる。 顔だけ出して、水の中に身体を浸していると何処からが自分なのか分からなくなる。 そんな心持ち。 昌子は私です。 【韜晦】トウカイ 1)自分の本心や才能・地位などをつつみ隠すこと。 2) 身を隠すこと。姿をくらますこと。
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文章がきれい、おもしろい構成で読み始めの数行は頭に入ってこなかったけど、進めるにつれ、そのおもしろさに惹かれていった。女社会の中を覗き込む感覚を楽しめたけど、なんとなく理解しきれない雰囲気があって、そこはマイナスだった。なんだろ女性的小説なのかな・・・
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これは何?が疑惑(笑)に変わり、そういうことかと思い、それから…! 色んな意味で、しんどい話ではあります。読む年代によって、思うところは変わるかも。
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読み進めるうちに、少しづつ二人の女性の姿が浮かび上がり最後にはまるで自分の友人のようにすら感じる。 多くは語らずにその輪郭が見えてくる、その背後の哀しみに胸を衝かれます。
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あ、まだ表紙が間に合ってませんね。すてきな装丁になっています。2・3年くらい前に一度読んでます。小話があって、それについてのあからさまなコメントがついているというゲーム的な小説になっています。小話は同性愛とSMのお話です。松浦さんでは定番といえる題材だそうですが、一番はじめにこの...
あ、まだ表紙が間に合ってませんね。すてきな装丁になっています。2・3年くらい前に一度読んでます。小話があって、それについてのあからさまなコメントがついているというゲーム的な小説になっています。小話は同性愛とSMのお話です。松浦さんでは定番といえる題材だそうですが、一番はじめにこの本を読んだので、ちょっとひいてしまいました笑。同性愛やSMを誰にでもひと時は通るお約束としてかかれてあります。それも韜晦的に。書き手と読み手はいつかの私と誰かであったとぞっとしながら読み終えました。
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