笑いと日本人 の商品レビュー
悲しいときや、恥ずかしいときに笑う日本人の笑いを西洋人はジャバニーズ・スマイルあるいは、シークレット・スマイルとして理解不能なものとして見ているのは有名だ。 しかし、著者は日本人のこのような笑いを「親近感の演出」と述べている。 ではどうして親近感の演出手段として笑...
悲しいときや、恥ずかしいときに笑う日本人の笑いを西洋人はジャバニーズ・スマイルあるいは、シークレット・スマイルとして理解不能なものとして見ているのは有名だ。 しかし、著者は日本人のこのような笑いを「親近感の演出」と述べている。 ではどうして親近感の演出手段として笑いを日本陣はするのか。その答えを農耕民族で、集団で協力する必要がある。そのために、「生活の糧を得るという重大時の前には、小異を捨てる」と指摘している。 まさに「生活の知恵」だな。 さらに「性と笑いは同列」とも述べている。出産は子孫繁栄をもたらし、広く捉えると集団の幸福になる。この点で、出産と豊作が同一視されて、性が人間の幸福に関係するとされ、同じ幸福を招く笑いとつながると述べている。 本には載っていないが「快楽」の側面もある。深くは追求しないが。 埴輪と仏像の笑みにも注目している。埴輪を見ると笑顔のものがある。「笑う埴輪は霊魂の力を強め、それによって死者を蘇生させようとして、笑っているのである」と述べている。 仏像に関しては、仏教が外来のものだったので笑いが必要だった指摘している。仏教は、6世紀前半に日本に伝来した。飛鳥寺の釈迦像などの初期のものは、口元に笑みを浮かべているが、奈良時代になると次第にいかめしい表情のものが増えると述べている。 埴輪や仏像を笑いのテーマの例として挙げるなんて浮かんで来なかったので面白いなあ。
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