波うつ土地 の商品レビュー
- ゆるやかに波うつ土地の風景に時空を超えたイマジネーションをかさねつつ、破壊された人間関係の原基としての「性」を見すえて、空なる生の悲哀と原型をみごとに描く (帯より) 鈍くさい男、子供のような男が少し出てくるだけで、他は全て女性の登場人物。どれもクセが強く、どこか欠けていて...
- ゆるやかに波うつ土地の風景に時空を超えたイマジネーションをかさねつつ、破壊された人間関係の原基としての「性」を見すえて、空なる生の悲哀と原型をみごとに描く (帯より) 鈍くさい男、子供のような男が少し出てくるだけで、他は全て女性の登場人物。どれもクセが強く、どこか欠けていて、強かで、攻撃的で、魅力的な中年女性ばかり。よくこんな話を思いつくなというほど、どれも日常的かつ非日常。独特な文体で引き込まれる。 主人公は、自分を皮膚で作られた袋に入った水だとイメージする。今にも破れそうで、まわりをべしょべしょにし、夫である男はそれを知っているから、流れ出た水を杓子で掬っている。死んだら溶けて水になって大地に染み込んでいく。 だから登場する縄文時代の遺跡からは人骨が出てこない。
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