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現代幽霊論 の商品レビュー

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2024/04/14

【概略】  「幽霊は、いる」と巻末で述べる著者が本書を通じて語る「幽霊とは?」。妖怪と幽霊は同じカテゴリーに入るのか?化物との違いは?幽霊について余すところなく学ぶことができる一冊。 2024年04月14日 読了 【書評】  「恐怖新聞」から始まった人外の物との交流、この年齢に...

【概略】  「幽霊は、いる」と巻末で述べる著者が本書を通じて語る「幽霊とは?」。妖怪と幽霊は同じカテゴリーに入るのか?化物との違いは?幽霊について余すところなく学ぶことができる一冊。 2024年04月14日 読了 【書評】  「恐怖新聞」から始まった人外の物との交流、この年齢になってちゃんと書籍を通して学ぶ必要が出てくることは露ほど思わなかった。そして、参照される文献も含め、大の大人達がこうも真面目な顔して語っているとは。これこそ学問。素晴らしい。  本書内で「おぉ~確かに」と感じる部分は、柳田國男の民俗学から派生し、水木しげるで完成された妖怪との線引き。(あれは異星人だけど)ガンツ大阪編に出てくる「ぬらりひょん」をはじめとした(何度も言う、あれは異星人だけど)「闘う者たち」は(異星人だから)別として、「ネームド」「名前がついたもの」達の存在感、水木しげるによって愛くるしい存在になってしまって。人を騙す・陥れる・屠るという害の概念がおそよ取り除かれてしまっている。話が脱線するけど、「妖怪」という一段抽象度が高いものから名前がついて細分化され具象度が上がると、他との個体差が明確になり存在感が増し、主張が強くなるよね。ウチの柴犬・おはぎも、「おはぎ」と名前がつけられたことで、もう他の柴犬とは別個の存在になる。「だから女性は・・・」の「女性に自分を含まないで!」(あ、「女性」じゃなくて「おっさん」の方がいいな 笑)に通じるものがある。  もう一つ、今回の目的であるトルコでのパネルディスカッションで語るために本書から一つキーとなる表現をいただいた。「リング」の貞子や「呪怨」の伽椰子などは、幽霊に分類しても問題ない存在なのだけど、映画の演出として物理的に受肉したような描かれ方をしている。霊感がない人にも「見える」ように演出をしてくれているけれど、本来は「見えない」はずなのだよね。そしてジャパニーズホラーをはじめ、日本人は昔から、「そこになにかがある」と、受信者側で欠けたピースを補完するような、そんなところに畏怖を覚える。この「映画の演出として・・・」という部分、ありがたかった。谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」、長谷川等伯の「松林図屏風」にある「ないところに想いを馳せる」という点、大きな要素だと思う。  こちらも超絶どうでもよいことかもだけど・・・久々に敬称「さん」を外した形で表現した。一段も二段も三段も・・・果てしなく高いところに昇ってしまった方達は、もはや「さん」など必要ないアイコンと化してしまっているのではないか?と思ってしまうぐらい。決して尊大な気持ちで「さん」を省略した訳じゃないのよ。

Posted byブクログ