沈黙 の商品レビュー
短時間で読めます。 ページ数は32ページです! 読書に慣れていない方でも1時間もあれば読めると思います。 文章は読みやすいです。 筆者の作品の中でも特に読みやすい部類に入るでしょう。抽象的な表現は少ないです。 描写が良いです。 主人公の心理が大きく動くシーンがあるのですが、心...
短時間で読めます。 ページ数は32ページです! 読書に慣れていない方でも1時間もあれば読めると思います。 文章は読みやすいです。 筆者の作品の中でも特に読みやすい部類に入るでしょう。抽象的な表現は少ないです。 描写が良いです。 主人公の心理が大きく動くシーンがあるのですが、心情がありありと描かれています。 単にストーリーが展開するだけの作品とは異なります。読みやすいだけでなく引き込まれます。 また、クライマックスでのある人物とのやりとりはなんとも言えません。 流石は村上春樹!と、何度も読み返しました。 教訓あります。 作中の主人公が語る処世術というか、人付き合いの心構え(作品から読み取れるメッセージ)は僕自身、身の振り方の参考になりました。 もっとも…、 筆者特有の表現は他の作品に比べると少ない(もしくは皆無?)です。(例えば“冷蔵庫の中にある賞味期限切れの魚を見るような目で僕を見た”等の特有の描写、登場人物同士の機知に富んだやりとりです。) あえて書いていないのでは、とも推測しています。 とはいえ…、 オススメの一冊です。 本好きの人にも当然勧めますし、読書の機会が少ない方に特に勧めています。なんと言ってもすぐに読めますから。 個人的には中高生向けのおすすめ本リストにこの作品が挙がって来ないのが不思議なぐらいです。 (短編でしかも推薦図書なので書店では販売されていないでしょうから仕方がないでしょう。)
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深みとは深みの存在を知るものにしかわからないもので、深みを重視する人生は表面上のものごとだけで評価してしまう世界では苦しく辛いものだ。深みに沈んでいるときに落ち着こうとも、生きていくためには表面を泳ぎつづけなければならない。
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中高生向けの道徳小説 退屈だった。なんとなく筋が予想できてしまって、ひねりがない。むしろ、大沢さんがなぜ僕にそんな話をしてくれたのかといふ事の方が気になる。似たやうなテーマではコンビニ人間の方がおもしろかった。 この小説は「他人の意見に踊らされて集団で行動する連中」といふ存在...
中高生向けの道徳小説 退屈だった。なんとなく筋が予想できてしまって、ひねりがない。むしろ、大沢さんがなぜ僕にそんな話をしてくれたのかといふ事の方が気になる。似たやうなテーマではコンビニ人間の方がおもしろかった。 この小説は「他人の意見に踊らされて集団で行動する連中」といふ存在に辿りつく以上の事がない。私も中学高校の頃はそんな事を考へたりして、そんな事はとうにわかり切ってゐたので、世界の終り~を読んだ時に感じた退屈さがふたたびよみがへってきた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
村上春樹の短編。集団読書用っていう、薄っぺらい本で、私は随分前に入手したので184円って書いてある。今現在、普通にその値段で購入できるのかどうかわからない。この短編自体は、どこかに収録されているとは思います。 素晴らしい小説だと思う。 ある男性の独白。中学生の頃、いじめというか、どうにも相性の悪い同級生によって、クラスのみんなから無視されるような最悪な状況に追い込まれた思い出を語る。それをいかにして乗り越えたかという話になっている。 確かにこの男性は、いじめ(集団による無視)から乗り越え、ある意味強くなったのだが、「俺、こんなこともあったけど、強くなったぜ」という話ではない。人間って、こんなに愚かな生き物なのだ。こういう人間が、時々いるんだ。それはもう、どうしようもないことなんだ。こういう人間に、無意識に扇動されて、自分では悪気もないまま、悪いことをしているという自覚もないまま、平気で人を傷つける人間の集団…それについて、怒りを通り越して、深い悲しみを感じる、という物語だ。 「いじめに負けるな」「屈するな」という話ではないけど、もし何か、悪い巡り合わせで、自分が標的にされてしまっても、決して負けてはいけない。怒りよりも、相手や集団、社会を憐れむ、「かわいそうな奴だな」と思うことで乗り越えられる場合もある、という物語でもある。 とても辛い話なのだけど、誰しも、大人になる過程で、こういうことに気づく瞬間が必要だと感じる。人生には、辛いこともたくさんあるから、我が子にもいつか、これを読んでほしいと思う。中学生…高校生くらいかな。 私は、自分がこれを最初に読んだのがいつだったか思い出せないけど、若いときに最初に読んだときはもちろん、主人公に共感しながら読んだ。私も悪に屈しないぞ!と思ったはずだ。今読むと、自分が、この語り手が憐れんでいる「愚かな集団」の一員だったことがあるのではないかと感じ、胸がいたむ。私は知らず知らずのうちに人を傷つけていないだろうか、私は誰かの犠牲の上にうまく立ち回って今に至っているのではないだろうか、と怖くなったりもする。 久しぶりにそんなことを考えた。
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あの子が言っていたことを想像しながら読みました。 あの子がどんな経験をしたのか? 今、どんな経験をした時に読みたくなるのか? 染み込むように読めました。 集団心理の恐ろしさ。 小さな悪意の伝染。 伝染した悪意はどんどん広がって、 自分が他人を殺そうとしてることにも気づかない...
あの子が言っていたことを想像しながら読みました。 あの子がどんな経験をしたのか? 今、どんな経験をした時に読みたくなるのか? 染み込むように読めました。 集団心理の恐ろしさ。 小さな悪意の伝染。 伝染した悪意はどんどん広がって、 自分が他人を殺そうとしてることにも気づかない。 そんな集団の一人になっているかもしれない。 怖い。 沈黙した大沢さんが耐えた六ヶ月で、他人の小さな痛みも敏感に感じ取れるようになった点、悪意のある他人を嗅ぎ分ける感覚、共感できるところがあった。 青木を哀れで悲しいと思えてくるところも、感情が突き抜けてしまうと、そうなるなと思った。 本の中だけじゃなくて、現実を振り返って周りを見渡した時に考えさせられる内容だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
読む人自身に、それぞれの立ち位置を確認させる、 みごとな作品だと思う。 自分は少なくともそういったリテラシーはあるつもりだ、 他者を傷つける可能性のある意見には、 とりあえず慎重になってみる作法を持ち合わせているはずだ、 しかし、その自己認識にたしかな根拠はあるのか? 大沢いうところの人間の「深み」というものの存在を、考えさせられた。 大沢は自分を陥れた青木と、言葉ではなく視線のみで交戦し、 ついには「勝つ」。青木への感情は、その数分間で憎しみから憐れみに 変化し、自身の苦悩から解放される。 高校生にして生涯最大の苦境を味わい、 自己との対話のみで乗り越える。 自分の人生に「負け」なかった大沢は立派だと思う。 (・・なんだか中学生の読書感想文みたいだな。。) そして村上作品には、大沢のような寡黙なペシミストがしばしば登場する。 まわりのやつらは、無批判で、理解が浅くて、 安易な意見に集団で踊らされる、くだらない連中。そして彼は、そんなくだらないやつらに言い訳などせず、 沈黙をもって戦う潔い賢者なのでしょう。 でも、賢者のクールを気取った態度がなんだかハナにつく。 みっともなくもなれないカッコ悪さ、みたいなものを感じてしまう。 いいじゃん、「バカ」を相手に真剣に怒っても。 自分だってバカの集団のひとりかもしれないんだから。 ・・・そうか!あたしは、「賢者」が一方的に設定する「境界」に、 苛立っていたんだよね。 (2006年12月作成レビュー)
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(1999.01.04読了)(拝借) ☆村上春樹さんの本(既読) 「ノルウェイの森(上)」村上春樹著、講談社、1987.09.10 「ノルウェイの森(下)」村上春樹著、講談社、1987.09.10
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少し山田詠美の「風葬の教室」を思い出させる作品。 文壇への批判を描いているようにも見える (とんがり焼きがそうであったように) しかし本当に恐いのは無関心。そして判断を停止することだ。 これは何にでも言える。
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孤独は決して恐い事ではない。 むしろ孤独を選択したほうが自分を守れる・・・そんな事を考えた本でした。 本棚に置いておくと隠れてしまうくらい薄い冊子ですが、内容はかなり重厚です。
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大沢さんのような人間、青木のような人間、青木に動かされる人間、大沢さんに憧れるけど、実際自分はどうなんだろう。読みながら、「これは読んだことあるな」と思ったら、レキシントンの幽霊に入ってたのね。
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