ゴジラ 昭和29年度東宝作品 映画小説 の商品レビュー
1984年にリメイクされた『新ゴジラ』の公開を踏まえ、メディアミックスのムーブメントの一つとして新たにノベライゼーションされたのが本書。それまで『ゴジラ』の原作及びノベライズとされた作品は原作者である香山滋自身が映画用プロットやラジオ劇の台本に加筆し小説化した児童書であったのに対...
1984年にリメイクされた『新ゴジラ』の公開を踏まえ、メディアミックスのムーブメントの一つとして新たにノベライゼーションされたのが本書。それまで『ゴジラ』の原作及びノベライズとされた作品は原作者である香山滋自身が映画用プロットやラジオ劇の台本に加筆し小説化した児童書であったのに対し、本書は1954年に公開された映画作品『ゴジラ』からの完全なノベライゼーションである。 映画『ゴジラ』はプロデューサー兼、原案者の田中友幸、シノプシス及び検討用台本著者の香山滋、監督の本多猪四郎の三者による著作物であり、中でも文版権に至っては香山が担う部分が多かっただけに香山の死去以後、再小説化に伴う著作権の問題から永きの間再小説化は叶わなかった。そこで映画の基本プロットを考案したプロデューサーである田中友幸の監修のもと、新たに「翻案権」という形を取るという紆余曲折した後に発刊されたという複雑な経緯を持つ。 ストーリーは映画に準じており、活字媒体の強みである映画では描ききれなかった山根博士をはじめ、ゴジラを倒す化学薬品「オキシジェンデストロイヤー」を開発した良識ある科学者ゆえに人間社会に疑念を持ち苦悩する芹沢大介ら各登場人物の畏怖や怒りと葛藤などの心理描写にスポットが充てられ人間ドラマをより深く掘り下げている怪獣小説は初代ゴジラファン待望のノベライゼーション。
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