夢源氏剣祭文(1) の商品レビュー
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皇なつきさんの絵がとにかく美麗で絵を眺めているだけでもうっとり。 まさに絵巻物、平成の御伽草子。 ワンシーン、ワンシーンが歌舞伎の見得みたいにピシッと決まっていて、どこを切り取っても一枚の絵として成り立つほどです。 あらすじをかいつまんでご紹介しましょう。 物語の舞台は平安後期。 4歳の少女 茨木(いばらき)は、生き別れになった父に会うため、母に連れられて京の都を目指していました。 ところが道半ばで母は頓死。 ひとり残された茨木は荒野を彷徨ううち、鬼につかまって耳を食いちぎられてしまいます。 しかし鬼に食い殺される直前、茨木の体に変化が… 茨木は突然生えてきた鋭い爪で鬼を切り裂き、鬼を返り討ちにします。 わけもわからぬまま母の遺言に従って都を目指す茨木ですが、そのあと出会った山姥(やまんば)に、鬼に噛まれた者は鬼の毒のせいで自らも鬼に変じてしまうと告げられます。 14歳で成長が止まり永劫の時を独りで生きねばならぬ定めだ、とも… 茨木の試練の旅が始まります。 …勘の良い方はお気づきでしょうが、この物語は、かの有名な酒呑童子伝説を下敷きにしたもの。 源頼光に退治されたという大江山の鬼ですね。 その酒呑童子の一番の子分と伝えられているのが茨木童子。 源頼光の家来である渡辺綱と戦って腕を切り落とされたエピソードが有名です。 本作のヒロイン茨木は、この茨木童子をモチーフにしたものと思われます。 (実際、茨木童子に関わりのある人物、金太郎こと坂田金時や安倍晴明、源頼光らがこの後の話で続々登場します) 鬼退治伝説を鬼サイドから解釈したらどうなるか、という物語なのですね。 さらにいうと、物語の舞台は平安でも書かれたのは平成なので、現代的なアレンジが効いています。 鬼としての茨木の誕生には、日本古来の鬼に、吸血鬼(ヴァンパイア)の要素が加味されているようにも見えます。 茨木は人間の生き血を啜るわけではありませんが、自身は老いを知らぬまま様々な人間との出会いと別れを繰り返してゆくことになります。 もっとも、日本にも人魚の肉を食べて不老不死となった八百比丘尼(やおびくに)という妖女がいますので、そちらにヒントを得たのかもしれませんが。 原作は新聞の連載小説だったとのことで、なかなか娯楽要素満載の読ませる展開になっています。 元ネタを知らなくても面白い、知っていればもちろん面白い。 掲載誌の廃刊で未完になっているのが惜しまれます(原作小説は完結しています)。 連載再開を強く望むものです。
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素晴らしい絵巻漫画。煌さんの絵だからこそできる表現だと思います。これ一冊でも世界観に充分浸れるんですが、やはり続きを読みたいです…
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