性愛文学 の商品レビュー
著者は、戦後の名作三編として山本周五郎『樅ノ木は残った』、深沢七郎『楢山節考』、富島健夫『ベアトリーチェ凌辱』をあげ、その理由として、「小説という方式によってしか訴えることのできな問題三つ、政治・家族・性愛、これらを他の何処にも見られない独創をもって描いたと見做し得るからである」...
著者は、戦後の名作三編として山本周五郎『樅ノ木は残った』、深沢七郎『楢山節考』、富島健夫『ベアトリーチェ凌辱』をあげ、その理由として、「小説という方式によってしか訴えることのできな問題三つ、政治・家族・性愛、これらを他の何処にも見られない独創をもって描いたと見做し得るからである」と述べています。こうした観点から、富島の『処女連盟』や広山義慶の『女喰い』について、じっさいのテクストを紹介しながら考察がなされています。 文学における「性」というテーマについては、近年ではジェンダー論の観点から検討がおこなわれることがありますが、本書刊行時78歳で保守派の論客としても知られる著者が、このテーマについてどのようなアプローチをおこなっていたのかということが気になっていたのですが、テクストの引用が多いわりには、あまり突っ込んだ考察は見られないように感じました。
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