ことばの食卓 の商品レビュー
本の雑誌のエッセイ特集の号を読んで。 図書館ですぐ借りられたのは1984年刊の単行本のみで、書庫から出していただいた。 まず、本自体が当時の雰囲気があって、とってもいい。裏にバーコードもISBNもなく、内側に貸し出し期限票が貼り付けられている。 昭和60年から62年位までは二ヶ...
本の雑誌のエッセイ特集の号を読んで。 図書館ですぐ借りられたのは1984年刊の単行本のみで、書庫から出していただいた。 まず、本自体が当時の雰囲気があって、とってもいい。裏にバーコードもISBNもなく、内側に貸し出し期限票が貼り付けられている。 昭和60年から62年位までは二ヶ月おきくらいで借りられていたようで、そのあとは1年に1回くらい、平成3年まで。そのあとは電子化なのかな。 どんな人が読んだんだろう?想像するのがまた楽しい。 冒頭の枇杷が印象的で、全体を通して匂いとか情景が浮かんでくる。 本当はもっとゆっくり堪能したいけれど、積読が多いので通常のスピードで。
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滋味深い文章の一つの特徴に、再帰のサイクルの潔い寸断、があるように思う。考えて書く、その考えを検閲する自意識の不在。軽やかで奔放な筆運びはそうした検閲する自意識の不在がもたらすのではなかろうか、こんな風に書きたいものだなあ、と思いながら味わった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ある雑誌で角田光代さんが推薦していた一冊です。 最初の数編を読んだときは、なんとなく生々しさが際立っていて 「うーん…」という状態。 でも、海辺の避暑地での兵隊さんとのやりとりからなる一編を読んだときに、 その光景と空気がすっと目に浮かびました。 まるで短編映画を見ているかのように。 少し、きつすぎるんじゃないかと思うくらいに癖のある、 細やかな描写は、このためにあったんだ、と思い至りました。 生々しさは、生きている証。 私もこうして、生きて行きたい。 生きていることは、五感の全てをフルに使い切ること。 特に竹田さんの作品では、嗅覚が強く働いているように思います。
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画・野中ユリ 題名の『ことばの食卓』から、なんとなくいろいろな食べもののことが書かれているのかと思って読み始めた。 もちろん食べもののことも書かれているが、それだけではない。 ≪食卓≫というのは、人間が生きてゆくためになくてはならない≪食べる≫ということのためにある場所であり、...
画・野中ユリ 題名の『ことばの食卓』から、なんとなくいろいろな食べもののことが書かれているのかと思って読み始めた。 もちろん食べもののことも書かれているが、それだけではない。 ≪食卓≫というのは、人間が生きてゆくためになくてはならない≪食べる≫ということのためにある場所であり、どこよりも気取らずに過ごせる場所でもあるのだと思う。 14の小さな物語が、食卓にのせられ、強ばりのない語り口で語られるのに耳を澄ませると、こちらまでほっとからだの強ばりをほどいて寛げるような気がする。
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