現人神の創作者たち(下) の商品レビュー
冒頭にある(上)のまとめが分かりやすい。 (上)ほどではないが、相変わらず、文意が正確にくみ取れない古文の引用の嵐に辟易する。単に今という時代に即していないだけでなく、構成的に必要のない引用も多いのではないか。 書き口はともかく、日本人論として優れている。 天理教の教祖につい...
冒頭にある(上)のまとめが分かりやすい。 (上)ほどではないが、相変わらず、文意が正確にくみ取れない古文の引用の嵐に辟易する。単に今という時代に即していないだけでなく、構成的に必要のない引用も多いのではないか。 書き口はともかく、日本人論として優れている。 天理教の教祖について触れた解説も興味深い。 ひらめきのある指摘は以下の通り ・江戸時代以前=中国、開国後=西欧、先後=アメリカと日本はその尺度がほぼ外にあった。 ・歴史が預言であることは、旧約聖書やマルクスだけでなく、すべての歴史について言いうることである。 ・イデオロギー(法)によって触発された心情の方だけが残る。
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上巻では、慕夏主義から、正統論、理想主義に至る流れを、熊沢藩山、山鹿素行、林羅山、山崎闇斎、浅見絅斎、らを思想を基に辿ってきた。 下巻では、それらの思想が尊王攘夷、倒幕、および、明治以降に残した毒、に繋がっていく様子を、栗山潜鋒 三宅観瀾 安積澹泊、または、赤穗浪士などの話を通じ...
上巻では、慕夏主義から、正統論、理想主義に至る流れを、熊沢藩山、山鹿素行、林羅山、山崎闇斎、浅見絅斎、らを思想を基に辿ってきた。 下巻では、それらの思想が尊王攘夷、倒幕、および、明治以降に残した毒、に繋がっていく様子を、栗山潜鋒 三宅観瀾 安積澹泊、または、赤穗浪士などの話を通じて描いている。 江戸、明治維新、明治、戦前、戦後を貫く思想と、その思想から日本人の特徴を鋭い考察で描いた名著。 「絅斎は確かに明治維新を招来した原点である。その意味では評価せねばならぬが、それを清算しなかったことが、昭和にどれだけの「猛毒」をもたらしたか。だがそれは、清算せずして「消して」、消えたつもりになっていた後代の、吉田満氏の言われた「まやかし」の罪である。」 《サマリ》 絅斎の考えた「正統に服するものが理想」という考えが適さない問題点が存在した。 ①水戸の彰考館の「大日本史」編纂。北朝・南朝の取り扱い(北朝5帝の取り扱い)。 ②安積澹泊が編集した「論賛」。幕府に忠実であった人物の評価。 歴史の編集が矛盾だらけになる。 まさに、外国の理想主義を日本にあてまめ、それをもって日本の歴史を再構成しようとした事での問題。 その後、正統論に基づき、非合法政府である幕府は倒さねばならない、という思想に繋がり「尊王攘夷」が生まれる。 浅見絅斎から安積澹泊、三宅観瀾までの流れで「天下の公論」が作られてきたところに、外国からの刺激で攘夷という形になった。 そのために維新となっていたはずなのに、明治に入りこ、攘夷を行うことはなく、開国への流れとなった。この国民を騙した結果について、岩倉具視、西郷隆盛が強く認識していた。 西郷隆盛は「こんな欧化主義の政府をつくる事など考えていなかった」という思いを持ち、明治政権から離れる。 中国主義から欧州主義にあっという間に転換された。 この明治初期に過去を清算できなかた事が昭和へ問題を持ち越す結果と繋がった。
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