海外SFショート・ショート秀作選(1) の商品レビュー
アメリカ、ウィスコンシン州の出版社が出したテーマ別SF絵本8冊シリーズの文章部分を2冊の集英社コバルト文庫で訳出。古典やら聞いたことがない(おそらくプロパーSF作家でない)まで、絵にしやすい作品が選ばれたのだろうが、子供向けに甘いというものはなく水準が高い。当文庫でも一枚ずつイ...
アメリカ、ウィスコンシン州の出版社が出したテーマ別SF絵本8冊シリーズの文章部分を2冊の集英社コバルト文庫で訳出。古典やら聞いたことがない(おそらくプロパーSF作家でない)まで、絵にしやすい作品が選ばれたのだろうが、子供向けに甘いというものはなく水準が高い。当文庫でも一枚ずつイラストが付いている。 〈地球侵略〉のオールディス『闘技場にて』は再三読み返した名作。恒星間植民をはじめたばかりの地球人類は、巨大ムカデの各体節に鋭いトゲがあるような知的エイリアンに遭遇し、なにしろ彼らの「女王」は1秒に50個の卵を生むので兵士のコストが高い地球人類はとうてい勝てない、母なる地球は家畜人類の育成地にされてしまった。ムカデ族は水棲から変態する。その母星は砂漠と海ばかりのところで、奴らの最大娯楽は征服して家畜化した種属を別の家畜種属と戦わせて見物すること。 主人公は、当日はじめて予定変更で2対2でパートナーと鎖で繋がれて戦うと聞かされ、相手が強力なムカデ族2匹チームなのに、パートナーがまだ十代の少女なのに絶望したが…締めくくりの一言が泣かせる。
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