天からふってきたお金 の商品レビュー
岩波おはなしの本の1冊。 このシリーズは世界各地の「たのしいお話」を集めた全11巻の子供向け民話集である。極北、北欧、アフリカ、欧州、アジアとさまざまな国のものがある。 本書ではトルコ民話を紹介する。中でも、トルコではよく知られる「ホジャ」の口承文学を集めている。全16話。 ホ...
岩波おはなしの本の1冊。 このシリーズは世界各地の「たのしいお話」を集めた全11巻の子供向け民話集である。極北、北欧、アフリカ、欧州、アジアとさまざまな国のものがある。 本書ではトルコ民話を紹介する。中でも、トルコではよく知られる「ホジャ」の口承文学を集めている。全16話。 ホジャ、正式にはナスレッディン・ホジャという。「ナスレッディン」は、勝利を意味する固有名詞、「ホジャ」は平たく言えばお坊さんである。解説によれば、学校に住み込んでイスラム教の宗教教育にあたった人を指す。 ナスレッディン・ホジャが実在の人物であったかどうかは定かでないが、トルコ圏内ではホジャが主人公の頓智話・小話が数多く存在する。トルコ人なら大人も子供も知っており、トルコのイソップ物語ともいわれる。 さて、そんなホジャ、頓智話の主人公というなら、小賢しい小狡い感じなのか、というと、そうでもない。機転を利かせて他人をぎゃふんといわせるような話もあるのだが、どこか抜けていて、逆に自分がやっつけられることもある。お坊さんならいかめしいのかと思うと、説教のネタに詰まり、適当にごまかしてしまうこともある。 ある時、王様のところにおよばれに行ったホジャ、兵隊たちの弓のけいこを見て、弓を射てみたこともないのに自分も弓の名手だと自慢する。じゃあ見せてみろと王様に言われて、ホジャ、大ピンチ。どうする、ホジャ!?(「四本の矢」) ある時は、友達に大きくて丸くて黄色いものをもらう。友達は「ロバのたまご」だという。3週間温めるとかわいいロバの赤ちゃんが生まれるんだって。ホジャと奥さんは交代で一生懸命温める。やがて「たまご」はなんだかやわらかくなってきたけれど・・・?(「ロバのたまご」) ホジャの奥さんは料理上手。とても上手にやけたアヒルのまるやきを王様に贈り物としてもっていくことにしたホジャ。あんまりおいしそうなので、うっかり食べてしまわないように、鼻をつまみながら歩く。だけどやっぱり誘惑には勝てず・・・(「一本足のアヒル」) おおらかで楽しい笑い。そして人間くさく親しみやすいホジャ。相手が王様でも子供でも同じように接している。 何よりこの男、なんだか人生がすこぶる楽しそうである。 シンプルな線の和田誠の挿絵も絶妙にマッチしている。
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手に取る機会があって、図書館で借りた。 【もくじ】 四本の矢 三つの金曜日 ごちそうをたべた上着 月夜に弓をいる スモモのおみやげ ホジャとクマ ホジャ、ロバを売りにいく ロバのたまご ホジャのピクニック ホジャとカボチャ 一本足のアヒル 三つの質問 名裁判官ホジャ 八本の足 天からふってきたお金 スープのスープ ナスレッディン・ホジャとその物語 訳者のことば おもしろかったです! トルコでは『ナスレッディン・ホジャ物語』といって、600ほどの短いお話がまとまっているそうで、トルコのイソップ物語的なお語だとか。 ナスレッディン・ホジャ(1208~1283)は、日本語に直すと「ナスレッディン坊さん」。 とんちがうまいのは一休さんのようだけれど、ぬけているところもあってにくめないおもしろいおじいさん。 こういう風に物語を介して世界に触れておくと争いは減るんじゃないかな、と改めて思いました。 違うところばかりでなく同じところを知るという意味から。 和田誠さんの絵もいい意味で無国籍感があって、違う国の物語感を醸し出しています。
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トルコの智慧もの「ナザレッティン・ホジャ」のお話。 実に素敵なよいかげんのおじいさんホジャ。こんな風に、肩の力をぬいて、気持ちよく生きて行けたらいいなあ!と、憧れますね〜。大人にも子ども達にもおすすめ! (チェシャねこ)
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