地域共生のまちづくり 生活空間計画学の現 の商品レビュー
京大の三村先生の退官記念にまとめられた、わかりやすい論文集。1998年なので、10年以上前の本なのに、今読むと妙に現代的に読めるのはなぜかな。 1998年以降も、厳しい規制緩和の圧力のなか、ずるずると規制緩和の仕組みをつくってきて、現時点になって、そろそろ、規制緩和の時代で...
京大の三村先生の退官記念にまとめられた、わかりやすい論文集。1998年なので、10年以上前の本なのに、今読むと妙に現代的に読めるのはなぜかな。 1998年以降も、厳しい規制緩和の圧力のなか、ずるずると規制緩和の仕組みをつくってきて、現時点になって、そろそろ、規制緩和の時代ではもうないぞ、と思ってくれる応援団が増えてきたような気がする。 昨日の続きで、都市計画制度の見直しで気がついたこと。 (1)都市縮小、コンパクトシティといったとき、大都市圏、少なくとも、首都、中部、近畿圏については、より広域的な観点から、緑のネットワークをどうつくるか、公共交通機関の計画をどうするのか、高齢者団地になった足とどうするのか、医療施設の配置をどう考えるのか、政治・行政・経済の中枢機能をどう災害から守るか、といった広域調整の仕組みが必要ではないか。 (2)歴史まちづくり法がこれ以降できたが、やはり国の文化財が核にならないといけない。その一方で、もう少し視野と応援団を増やしていけば、そこまで大仰な価値までいえないが、まもっていかなければいけない建築物、街並みがある。これをどうきめ細やかに守っていくのか。 (3)それと関連して、地区計画という制度も、それをまもり、マネジメントしていくという意味での、「計画」から「管理」までを含んだ仕組みに発展できないか。 (4)大胆に道路を開設していく土地区画整理事業とか、大規模な建築物をつくる市街地再開発事業は事業収支という観点から将来性はない。しかし、小規模にまちを改善していく必要はあり、そこにうまくマッチする法定事業の仕組みはないのか。 (5)今回の東日本大震災では、土地を一旦市町村が全面買収して、整備し、一部は従前の地権者に返し、まちの核となる施設は底地を市町村がもって、採算性を改善しつつ、民間資本で、医療、福祉、店舗などの複合施設をつくる、津波復興拠点整備事業を、法律、予算制度としてつくった。このような、土地を公有化する、あるいは、まとめてまちづくり会社が保有して、その上で、小規模な事業を民間の力でやっていくような手法が、新たな事業手法の可能性を持っているのではないか。 今、森美術館でメタボリズムの展覧会をやっていて、その分厚い紹介本をいただいて読んでみた。その時の個人的な違和感とこの本の妙に身の丈にあった現実感が、まったく対照的でおもしろい。 本間義人さんは東大と京大の違いと指摘していたが、今の役所で、東大出身者と京大出身者でいうことにまったく差がないのは、役人ずれしているのか、それとも自分の本音を隠しているのか、もう少し落ち着いてきたら、よく仲間と議論してみたい。
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