なぜデザインなのか。 の商品レビュー
無印良品のアートディレクションをやってる原研哉さんと ヨーロッパで製品開発や素材の応用研究などのデザイン活動を しているという阿部雅世さんの対談。 ヨーロッパ、特にイタリア、ドイツのデザインの歴史や 職人工芸の過去と現在、日本のそれらを対比させながら、 グローバルな資...
無印良品のアートディレクションをやってる原研哉さんと ヨーロッパで製品開発や素材の応用研究などのデザイン活動を しているという阿部雅世さんの対談。 ヨーロッパ、特にイタリア、ドイツのデザインの歴史や 職人工芸の過去と現在、日本のそれらを対比させながら、 グローバルな資本主義経済の世界の中で、 あるいはその速度の速い大きな変化の中で 日本のデザイン=ものづくりは何を拠り所にすればいいのか デザインの本質とは何なのかを語り合っている。 (余談:戦後、ものづくりをやってきた国は敗戦国ばかり。) デザインにおけるモダニズムや知恵の器としてのデザイン、 ヨーロッパの生活習慣の伝わり方、 緑と湿気が豊かな日本の環境がデザインの考え方に与える影響など こまごま勉強になる部分も多く、日本のデザインは 日本の感性の何を拠り所にしてどうしていけばいいのかという点は 先日読んだ松岡正剛の「世界と日本のまちがい」への 一つの解答のようでもあった。 これからは「ナー」のつく職業じゃない人たちが デザインを担っていくのではないか。 本来デザインにできることは 取り残された毎日の普通の生活に対する解答をつくること、 いろんな分野の人が生活のための知恵を出し合って 新しい生活を提案すること。 普通に暮らす人たちが、デザインという概念に触れることで どういう風に自分たちの暮らしを昨日よりもよくしたらいいかを 考え続ける局面で切実に機能する(のがデザイン) といった言葉に、対談者二人が考えるデザインの未来が 表れていると思う。 さらに、マヨネーズのノズルの口の形を考えるというような ワークショップなどで「デザインは小学校から始めたい」 「デザインは一般教養の一部」という言及もあり、 それには大いに同意するのだが、そうなるとそれはもう、 パフォーミングアーツと同じ領域の課題でもあるのかとさみしくもなる。 ちなみに、デザインと純粋に芸術的に何かをつくることとの 決定的な違いは、異分野の人に意図を伝えつつ、誤解を解きつつ 仕事を進めていかないといけないことだそう。 ひたすら考え続ける姿勢、試行錯誤の果てに最適な答えを見つけ、 バランスをとる合理性がデザインの本質、とあった。 しばらく勝間的ビジネス本を続けて読んでいたので 考えることのへのバランスがリセットできた気もする。 2009/6/24
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原さん、阿部さんのデザインに対する思いや感じ方を対談を通して知れる本。じっくり読むと、日本とヨーロッパのデザインの違い、考え方の違いを深く考えさせられます。 デザインの初心者の自分でもとても面白く、興味深く読めました。
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なるほど。と思わせられる事多し。 原さん、深澤直人さんに共通するデザインに対するストイックな姿勢に憧れる。
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対談方式なので読みやすいことと、最前線で活躍されているお二人の「デザイン」ということの捉え方、言葉の大切さ、身近な暮らしの中の発見など、納得させられることばかり。さらに、2人とも教育分野でも活躍されているので、実際のワークショップの内容や日本と西欧のデザイン教育の違いなどが面白か...
対談方式なので読みやすいことと、最前線で活躍されているお二人の「デザイン」ということの捉え方、言葉の大切さ、身近な暮らしの中の発見など、納得させられることばかり。さらに、2人とも教育分野でも活躍されているので、実際のワークショップの内容や日本と西欧のデザイン教育の違いなどが面白かった。最後の章の「デザインは小学生から学びたい」というところは、まったくその通り!と声を大きくして言いたい。
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原 研哉さんと阿部 雅世さんの対談形式の討論。 「なぜデザインなのか」ということを、 それぞれが暮らしている視点で語っています。 住むことに必要なこと、ミラノサローネが営利的になってきたわけ、 デザインという言葉などなど、読めば考え方が広がる一冊。(木下)
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「デザイン」の本質を両者の経験を交えて考察した対談形式の本です。デザインの存在意義と理想が強く語られています。 そもそも「デザイン」とはマーケットに迎合したものではなく、円滑な生活を可能にしてくれるものという考えに立脚しています。柔らかな合理性を追求したもの、とでも言いま...
「デザイン」の本質を両者の経験を交えて考察した対談形式の本です。デザインの存在意義と理想が強く語られています。 そもそも「デザイン」とはマーケットに迎合したものではなく、円滑な生活を可能にしてくれるものという考えに立脚しています。柔らかな合理性を追求したもの、とでも言いましょうか。 身の回りデザインを一度見直してもらえば、何かその作品と会話が出来るはずです。
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