RANMARU の商品レビュー
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確認先:目黒区立八雲中央図書館 上から目線丸出しでお話に値しない。 伊丹自身は29本(旅行系統を意味する図書館の分類記号)の人間らしいのだが、学部時代から物書きの真似事はしていたらしい。それで出した本書ではあるのだが、一読してストーリー性の薄っぺらさがあからさま。しかも「ただ薄っぺらい」一般書ならば微笑ましいが、問題はあくまでも本書は児童書とYAの境界線上に位置するということだ。書き手の自意識以上にセンシティブにならなくてはいけないのは、「(本来想定されている)オーディエンスのプライドを大人のロジックで傷つけてはならない」ということだ。本書の文体からはその部分がまるで出てこない。 確かにYAの小説と児童書の―それもませた小学生の―読む読み物、そしてライトノベルとのあいだには幾ばくの距離もないのは事実で、図書館の内部にいる身としては選定や装備の段階で迷うよなぁと思わざるを得ないのは正直なところ存在する。しかし、だからといって無理矢理版元や書き手の決めた自己流の基準にオーディエンスがきれいに分類されるわけではない。本書最大の失敗はまさにこの部分に由来するものであり、伊丹の「上から目線」もなる程そういう整理ならば納得する。同時に「上から目線」という言葉を用いる評者もまたこの「自己流の基準」を安易に振りかざして自己満足に陥ってはいまいかという自己点検と総括を求められるのではあるが。
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