百万の太陽 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「伊集院光の百年ラジオ」でラジオドラマとして放送されていた事を知り興味が出たのだが、残念ながら小説の方はかなり内容が異なるようだ。 全248回中の230回目だけ聞いた内容は「未来人が何かを警告するため過去(つまり現代)の地球にやってくるのだが文化・習俗の違いに色々戸惑う」というものだった。 この前後の話がどうなっているかとても興味が湧いたのだが小説版では過去に行くエピソード自体が無かった。 「2001年宇宙の旅」のようにラジオドラマと小説が並行して制作されたから全くの別物に仕上がったのかもしれない。 本書の話の筋としては大体「宇宙ステーションの若い訓練生達が地球に降り注ぐ未曾有の危機に対し何やかんやする」と言えるだろう。 そのため侵略宇宙人の尖兵になったかのように振る舞い同じ地球人から裏切り者呼ばわりされることもあるのだが「自分達自身のために核兵器を廃絶する」という、たったそれだけのことがこれほどまでに困難であることを再認識して情けなくなってくる。 冷戦期に書かれたから「核による地球人の自滅」はSFと言うよりはすぐ目の前にある危機だったのだ。 まぁその辺りは「目的」と言うよりは「手段」に過ぎず、「百万の太陽」という抽象的なタイトルの意味も最後になって明かされることになる。 一見破滅SFのようだが希望を失わないラストは先が見えない冷戦期に書かれたからこそかもしれない。
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