サルバドールの朝 の商品レビュー
映画にもなったあるアナーキスト青年の物語です。彼の物語の衝撃の結末に涙が止まらなかったことを覚えています。 この本は1970年代、フランコ政権末期のころに処刑されたアナキスト、サルバドール・プッチ・アンティックの伝記です。映画、『サルバドールの朝の原作本』だといえばわかっていた...
映画にもなったあるアナーキスト青年の物語です。彼の物語の衝撃の結末に涙が止まらなかったことを覚えています。 この本は1970年代、フランコ政権末期のころに処刑されたアナキスト、サルバドール・プッチ・アンティックの伝記です。映画、『サルバドールの朝の原作本』だといえばわかっていただける方もいるのではないかと思います。それにしても、読んでいてぞっとしたのは1960年代の末期から1970年代の初めはカウンターカルチャーやサイケデリック・サウンドの真っ盛りであったはずなのに その時代にまだヨーロッパで独裁政権が存続していたということと、サルバドールが処刑されるときの執行方法である鉄環絞首刑・ガローテ(資料によってはガロット)の陰惨さがものすごいインパクトだったことを覚えています。皮肉にも彼の死後にスペインの民主化は一気に加速したそうですが、その影にはこういう事件があったことを決して忘れてはいけないのだと思います。映画では処刑が執行されているときに彼と交流を持っていた看守のヘススが 「チクショウ! 何でこんなことがまかり通るんだ。何でお前がこんな目に遭わなければいけないんだ。フランコのバカヤロウ。サルバドール!!」 と叫んで刑場から連れ出されたのが印象的でした。後に彼は映画並びにこの本を製作する際に最も積極的にかつ詳細に彼のことを証言したのだそうです。そして、この本では登場人物のその後が描かれていて、特に彼の弁護を担当した弁護士のアラウはその後、決して日の目を見ることはなかったのだそうです。この事件があまりにもインパクトが大きかったからではないのだろうか。と記されていたのが心に残っています。
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