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バゴンボの嗅ぎタバコ入れ の商品レビュー

3.4

10件のお客様レビュー

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2024/04/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

●死圏 ○あらすじ  成層圏の外側に霊界があって死者がたむろしているとしたら、の世界。  アメリカが核をソ連に命中させるため、命中したことを確認するために成層圏の外側にUFOを飛ばしたことで、その霊界は発見される。 ○キャラは何を欲しているか。  UFOに載った人は、死んだ妻を欲している。打ち上げ計画の最高責任者は、核をソ連に打ち込むことを欲している。計画に参加した科学者は、計画に対して自分が完璧な技術力を発揮したという事実を欲していて(つまり計画の成功)、途中からは霊界の存在の解明を欲している。 ○感想  霊界の存在をどうやって博士たちに信じさせるか、のところが面白かった。傍にいる死者が誰で住所がどこ、って情報だけだと事前に調べたんだろで疑えるけど、博士とその親しい人にしか知り得ない事実を博士と親しい死者から聞き出し伝えるというのは、確かに綺麗な暴露だった。 ●ジョリーロジャー号の航海  めちゃくちゃいい。俺の置かれてる状況と似てて、自分を重ねてみてた。  20歳くらいから35歳くらいまで戦争に従軍してた人が主人公で、戦闘が大好きだった。で、一般人の友達もいないし、日常に戻った時にやりたいこともなかった。で、いざ戦争が終わってみると、自分は価値のない人間だと自覚してしまう。若い男女の会食にお邪魔することになった時は、自分が芸術とかの話に混ざれなくて、それを気の毒に思った人から戦争の経験談の話を振られるけど、要領の得ない話を延々としてしまい場を盛り下げてしまう、これで俺はもう無理だ...価値のない人間だ...となる。まあでも最終的には、親友のジョージがホームタウンで聖者として尊敬されてるのをみて、自信を取り戻す。自分には価値があるんだと。  やっぱり僕も人と上手く話せなくて、会食やら何やらが終わった後に「もう無理だ...」という経験を幾度となくしてきたから、あるあるとして面白く読めた。最後自信を取り戻すまで描いてハッピーエンドにしてくれてありがとう。俺は果たして自信を取り戻せるのか。人との間で何かの承認を受けるしかない、と思ってる。

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2018/12/09

どれもいかにも寓意富む作者らしい短編集 ただ作者作品の愛好家でもなければ あらためて開く価値あるような発見は感じなかった 出自やSFとつく文庫だからといって内容に関係なくSFとレッテル貼られるのは 作者が亡くなろうがいつまでもたぶんどこまでも変わらない

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2018/11/01

「貧しくてゆたかな町」に喝采、ブラヴォー! 初カート・ヴォネガットである。一編一編が一筋縄でいかず読むのに時間がかかった。高校のマーチングバンドの指揮者ものはとびとびに数編入っていて、そんな構成もおもしろかった。

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2015/12/23

私の好きなヴォネガットはSF作家なのであるが、この本にSF要素はかなり少なく、なので、しっくりこない作品が多かった。

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2014/01/02

ヴォネガットにももちろん下積み時代というものがあったんだなあ、と思う。ブラスバンドの先生の話が好き。

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2013/02/25

ヴォネガットの未読短編集。けっこう『まっとうな』短編で驚いた。  SFっぽい色の「死圏」はまぁまぁかな。次の「記憶術」はピリっとしないオチがイマイチ。アイデア勝負の「お値打ちの物件」は読める展開で面白くない。どんでん返しが決まる「パッケージ」はいつもの味が出ていていい感じ。オチ...

ヴォネガットの未読短編集。けっこう『まっとうな』短編で驚いた。  SFっぽい色の「死圏」はまぁまぁかな。次の「記憶術」はピリっとしないオチがイマイチ。アイデア勝負の「お値打ちの物件」は読める展開で面白くない。どんでん返しが決まる「パッケージ」はいつもの味が出ていていい感じ。オチがわからない「才能のない少年」は再読の必要があるかなぁ。  「貧しくてゆたかな町」では、効率が全てではないぞって主張がバッチリ表現される。わかりやすい作品。ラスト一行もよい。好きな作品だ。戦争が前面に出る「記念品」もわかりやすいと思うのだが、真に理解できたか疑問。これまた戦争が絡む「ジョリー・ロジャー号の航海」もなにか見落としている気がするから再読候補だな。  愛情にあふれるけど、破天荒な旦那の性格はあまり変わらないオチがおもしろい「カスタムメードの花嫁」。恋が少年を変える!ってなボーイ・ミーツ・ガールみたいな「野心家の二年生」はまぁまぁかな。  タイトル・チューンの「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」は帰ってきた軍人が昔の彼女のところに行くが、思いがけず叩きのめされて妻のもとにごろにゃんするお話かな。なんかここまでのお話はどれもあっさりし過ぎてるなぁ。そこで「パウダーブルーのドラゴン」が登場するが、私が好きな車の話だが、少年が苦労して手に入れた夢の車をぶっ壊す気持ちがわかりにくかった。  物騒な用心棒が主役の「サンタクロースへの贈り物」は痛快な結末がうれしい。同じハッピーエンドパターンは「無報酬のコンサルタント」も。美女の夫の苦悩が解決されていく。お決まりのオチ「あわれな通訳」の辺に来ると、あまりに切れ味が鈍い作品群に嫌気がさしてくる。これがあのヴォネガット?  「女嫌いの少年」も同じ登場人物なのはわかりやすいが、平凡。「自慢の息子」になると、『犬と息子への愛の区別がつかない』と豪語していたヴォネガットはどこにいったのかと思う。さらに「恋に向いた夜」では、月夜の恋の物語。う~ん、これって期待とは違うなぁ。  さらに「夢を見つけたい」では、父と息子がテーマである。どうなっているのって感じ。そして「駆け落ち」は少年少女の恋を笑う。これ現実的でヴォネガット風だなと、読者である私に少し笑みが戻る。キルゴア・トラウト作品の「2BRO2B」には大いに期待。さすがにSFタッチで小気味よい作品だ。これこそ彼の作品だと思う。  「失恋者更生会」もぴりっとしない物語に思う。ハッピーエンドだからなのか、物語の中核をなす本の意味がわからないからかもしれない。  既読の「魔法のランプ」だが、こっちの改訂版は残念だが駄作である。黒人差別に読めたのかもしれないオリジナル版の方がはるかに良い。エンディングが全く異なるから。貧しい人はそれ相応の・・・ってエンディングよりも、貧しかったけれどすべての夢が叶うオリジナルが断然によい。ある意味、改訂版の方がヴォネガットらしいといえばらしいのだが。  「雑誌作家としてのキャリアに関する結び」では「パウダーブルーのドラゴン」「女嫌いの少年」「魔法のランプ」が作者自身の手で書き直されたことが明言されている。最初の2作はわかんないが、ランプだけは書き直すべきではなかったと思うな。  総じて、どうもまともなお話ばかりで面白くなかったといえる。前書きの『創作講座101』はとっても面白かったのだがね。8つの教訓! さて、次は未読の第一短編集に取りかかりたい(吹田の図書館には所蔵されていないのが困ったちゃんだ)。

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2010/09/13

SFもあり、ちょっといい話風な短編もあり、の短編集。 序文などにもある通り、テレビが普及する前の時代、雑誌の読み物が一般的な娯楽として広く楽しまれていた頃に雑誌に掲載されていたもの。 古きよきアメリカ、的な香りもし、同時に、皮肉のきいた社会批判も織り込まれていて、まだ作家とし...

SFもあり、ちょっといい話風な短編もあり、の短編集。 序文などにもある通り、テレビが普及する前の時代、雑誌の読み物が一般的な娯楽として広く楽しまれていた頃に雑誌に掲載されていたもの。 古きよきアメリカ、的な香りもし、同時に、皮肉のきいた社会批判も織り込まれていて、まだ作家として駆け出しの頃のものでありながら、独特の個性が感じられます。 いちばん印象に残ったのは、「パッケージ The Package」かな。 ちょっと先の未来(書かれた当時はだいぶ先の未来、だったはず)の話、という設定。 苦労して事業を成功させ、念願の新型住居を購入したアールとモードのフェントン夫妻。 世界一周旅行を終えて新居に帰ってきた二人のもとに、チャーリーという男が訪ねてくる。 彼はアールの学生時代の級友で、裕福な家庭に育ち医者になった男。 苦学生だったアールは裕福だったチャーリーに対し、コンプレックスのようなものを抱いていた。 今や成功者となったアールのもとにやってきたチャーリーは、擦り切れた服、ほこりまみれの靴、といういでたち。 きっと金を借りに来たのでは、と思ったフェントン夫妻は――という話。 短めの短編が23編も入っていて、あまり読書慣れしていない人でも読みやすいし、内容も楽しめると思います。 娯楽小説的に書かれているけれど、垣間見える姿勢、のようなものが個人的にはとても好き。 2007年の4月に亡くなってしまったんですね、この人。 新作を楽しみに待つ、ということがないのは残念です。 そういう楽しみ方をしたかった作家です。

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2009/10/04

オチのよく解らない物も多かった。 短編が書かれていた時代の雰囲気説明にずいぶんとページが割かれている。 ここらへんから「タイタンの妖女」にながれた経緯も何でしょう?

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2009/10/04

2000年に上製本として発売されていた、ヴォネガットの短編集がこのほどようやく文庫化された。 書かれたのは1950〜60年代で、半世紀も前のもの。 ヴォネガットが短編を生活の糧として量産していた時期があり、 その大半はスリック雑誌に掲載された。 かつて、短編集「モンキー・ハウスへ...

2000年に上製本として発売されていた、ヴォネガットの短編集がこのほどようやく文庫化された。 書かれたのは1950〜60年代で、半世紀も前のもの。 ヴォネガットが短編を生活の糧として量産していた時期があり、 その大半はスリック雑誌に掲載された。 かつて、短編集「モンキー・ハウスへようこそ」が編まれたが、 そこから漏れてしまった23篇がここに収録され、短編の大方が網羅されたことになる。めでたい。 ここに収録されているのは短編で、しかもアーリー・ヴォネガットと言うべき作品群。 彼一流の文明批判や、どうしようもない人への「諦めと愛情いっぱいのまなざし」はすでに健在、 さすがというべき。ただ、長編に見られるようなあの独特の味わいはほとんどないので注意が必要。 短編としての出来は決して悪くないが、やはりヴォネガットは 長編でユニークな存在になったと思う。圧倒的に。

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2009/10/07

本を読むのなら、とりわけ「小説」を読むのなら、あなたは自分自身がひっくり返っても書けないと思える本を読むべきだ。結末の予想や著者の思想・背景を探るような余裕さえ無い程、自分を振り回してくれるような本を読むべきだ。 そういった本を見つけるために本屋に行くべきだ。その際は出版社別では...

本を読むのなら、とりわけ「小説」を読むのなら、あなたは自分自身がひっくり返っても書けないと思える本を読むべきだ。結末の予想や著者の思想・背景を探るような余裕さえ無い程、自分を振り回してくれるような本を読むべきだ。 そういった本を見つけるために本屋に行くべきだ。その際は出版社別ではなく、著者別にあらゆる出版社の文庫が雑然と並ぶ本屋を選ぶのが好ましい。あ行からわ行までくまなく検分するうちに、きっと心に引っかかったまま忘れかけていた作家の名前が見つかるからそれを手に取ってみるのが良い。そんな名前が見つからないなら、題名の良い本を引っ張り出して背表紙のあらすじを読むと良い。そんな題名が見つからないなら、装丁の優れたものを探して読むと良い(ただしこれははずれも多い)。 そこまでしても読みたい本が一冊も見つからなかったなら、ヴォネガットを読みなさい。

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