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経済発展理論 の商品レビュー

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2023/04/27

21世紀は新興国経済の勃興や、ピケティの本のように先進国であっても大きな経済格差が生まれることなどが大きなトピックになっています。そこで、やはり経済発展理論の系譜はしっかり押さえておきたい、ということで20年以上前に大学で読んだ本をまた引っ張り出しました。経済発展理論について、系...

21世紀は新興国経済の勃興や、ピケティの本のように先進国であっても大きな経済格差が生まれることなどが大きなトピックになっています。そこで、やはり経済発展理論の系譜はしっかり押さえておきたい、ということで20年以上前に大学で読んだ本をまた引っ張り出しました。経済発展理論について、系統だって理論フレームを説明してくれる本はありそうでありません。英語でも新古典派成長理論に偏ったテキストなどはありますが、アダム・スミスやマルサスから解説してくれる本はほとんど見たことがありません。その意味で、本書はカバレッジが広いことと、理論フレームやそれを巡る論争に関する解説が平易なので素晴らしいです。言い過ぎかもしれませんが、2015年現在でも、経済発展理論に関する最良のテキスト(日本語)ではないでしょうか。  本書では、ペティ=クラークの法則、クズネッツの各種実証研究(所得格差のU字カーブなど)、経済発展段階理論、マルサスの罠、ハロッド=ドーマー型成長モデル、ルイスやラニス=フェイ、ジョルゲンソンなどによるデュアリズム理論、産業連関表を使った各種分析など、いろいろなフレームワークが勉強できます。本書で欠けているパーツがあるとすれば、ソロー、ローマー、ルーカスと発展していく成長会計モデルですが、これらは他の本でも良く紹介されているので(しかも日本の研究者はこのフレームが大好きで、良くも悪くもこのフレームから抜けきれない)、あまり問題ではないと思います。

Posted byブクログ