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真夜中に戸をたたく の商品レビュー

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2021/12/30

キング牧師の演説集「わたしには夢がある」の続編。 「わたしには夢がある」が、どちらかという公民権運動の推進者として、いろいろな人に広く伝わるように語ったものであうのに対して、こちらは、教会での説教があつめられている。 説教なので、聖書の言葉を取り合えげられて、それを解釈しつつ...

キング牧師の演説集「わたしには夢がある」の続編。 「わたしには夢がある」が、どちらかという公民権運動の推進者として、いろいろな人に広く伝わるように語ったものであうのに対して、こちらは、教会での説教があつめられている。 説教なので、聖書の言葉を取り合えげられて、それを解釈しつつ、聴いている人の現実的な課題にリンクさせていくというスタイルのものが多い。わたしはキリスト教信者ではないので、聖書の引用は知らないものが多いのだが、これは思わず引き込まれて、一気に読んでしまった。 この説教集をよむことで、キング牧師がどうしてあそこまでの情熱で運動に力をいれることができたのかがわかるような気がする。 一言で言うなら、キング牧師は、自分のキリスト教信者としての信仰を現行一致することを目指していたということだ。 キリストの教えをそのまま受け取って、その時の社会情勢などのコンテキストにおいてみると、行動しないという選択肢はなかったということだったんだな。 そして、公民権運動に悪影響を与えるかもしれないが、ベトナム戦争に反対せざるをえなかったのだ。 そういったキング牧師の思想的な部分が、公的な場での演説以上によくわかると思った。 また、キリスト教聖書以外にも、しばしば、マルクスや過去の哲学者について言及され、それとの対比で、自分の思想を述べるところもあり、その辺も、キング牧師の世界観を知る上でとても役にたった。 キング牧師を知る上で、この本も欠かせないものだな、。 なお、この説教集は、キング著作集プロジェクトのなかからでてきたもので、演説はテープからの書き起こによるもので、ところどころテープの録音がきれているところがある。 つまり、これまであまり知られていなかったものがこうして活字になっているということだ。 キング牧師の研究も、こうした資料が整理されていくなかで、進んでいくだろうことが楽しみになった。

Posted byブクログ