スノーグース の商品レビュー
イギリスの灯台に背中にこぶがある画家が住み着き、傷ついたスノーグースを抱いた少女が助けを求めた。スノーグースが二人の心を結びつけ、戦争が二人を引き裂く。小さなヨットでダンケルクの兵士達を救おうとする画家の姿に心打たれる。
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絵本でありつつ、長さとしてはちょっとした短編、といった感じ。 舞台はイギリス南東部の湿地帯で、そこにある灯台に、背中に醜いこぶのある孤独な青年ラヤダーがやってきた。 彼は野生の、守るべき鳥たちへの思いやりにあふれ、その湿地に野鳥保護区を作っていた。また美しいものをつくりだす人でも...
絵本でありつつ、長さとしてはちょっとした短編、といった感じ。 舞台はイギリス南東部の湿地帯で、そこにある灯台に、背中に醜いこぶのある孤独な青年ラヤダーがやってきた。 彼は野生の、守るべき鳥たちへの思いやりにあふれ、その湿地に野鳥保護区を作っていた。また美しいものをつくりだす人でもあったー そんな彼と、怪我をした小鳥スノーグースを連れてきた少女フリスの、長い時をかけ、つかず離れず、でも確かに静かに思い合っていたーそんなお話。 絵が基本灰色がかっているせいか(その絵も美しいのだが)、見せ場であらわれる色のある絵がさらに際立って美しい。心に染みる深い紺青。心がじんとする美しさだ。 ラストは寂しさと悲しさと、愛おしさがないまぜになって、胸がいっぱいになった。ラストを迎えて、ああ、いつのまにこんなにもこの物語に引き込まれていたのだろうと。 ラヤダーもフリスも、きっと、きっと孤独ではない。 ああ、スノーグース。
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人間と動物たちの関りが描かれた3つの短篇。 「スノーグース」身体にハンディをもつ孤独なラヤダーのもとに、傷ついたグースを抱えた少女フリスが現れる。フィリップ(グース)と共に心を寄せ合うが。 背景に第二次大戦がありストーリーの広がり深みを感じた。 いくつかの偶然が重なりそこまで至っ...
人間と動物たちの関りが描かれた3つの短篇。 「スノーグース」身体にハンディをもつ孤独なラヤダーのもとに、傷ついたグースを抱えた少女フリスが現れる。フィリップ(グース)と共に心を寄せ合うが。 背景に第二次大戦がありストーリーの広がり深みを感じた。 いくつかの偶然が重なりそこまで至った。ラストは胸が裂けるやるせなさ。しかし、不幸ではなく希望が見えてくる気がした。相手を思いやる心を持つこと、自分の生き方にどれだけ納得したかどうか。 「小さな奇蹟」愛するロバの病気を治そうと奔走するペピーノ。奇蹟は起こるか。この奇蹟の意味合いは次のルドミーラへと続く。 <いいか、この世間でやっていこうと思ったら、ノウといわれて引下っちゃならんぞ。わかったか> 「ルドミーラ」牝牛の心の声の描写に胸を打たれ、神父とアロワのやり取りに引き込まれた。奇蹟とは知らないうちに降って湧くものではない。本当の奇蹟とは。 清々しい風景描写、素直な心情描写に静謐な美しさを感じた一冊でした。悔いなく自分らしい人生を送るヒントが詰まっていた。
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昔から変わることのない、人間の本能を目覚めさせてくれるような、心に響く物語。 動物たちに優しい孤独な男、「ラヤダー」が、自らの存在価値を貫いた記録は、既に孤独ではなかったことを証明している。人間と動物が思いを共有している表現に心を揺さぶられるのは、まさに、それを実感させてくれる...
昔から変わることのない、人間の本能を目覚めさせてくれるような、心に響く物語。 動物たちに優しい孤独な男、「ラヤダー」が、自らの存在価値を貫いた記録は、既に孤独ではなかったことを証明している。人間と動物が思いを共有している表現に心を揺さぶられるのは、まさに、それを実感させてくれるからだと思う。 そこに絡む人間が引き起こした戦争。それが彼に影響したことが辛くは感じるが、彼自身の気持ちは満足していたのかもしれない。そんな彼の純粋でひたむきな気持ちに、「フリス」も思うところがあったのだろう。フリスが見つけた絵とともに、二人の思いの架け橋をしてくれた王女様の行動には、真に胸に迫るものがあった。 物語の内容は言うまでもなく素晴らしく思うとともに、アンジェラ・バレットの絵がまた素晴らしい。 セピア調もカラーも美しく、もの淋しい切なさが印象的でつい魅入ってしまい、人物には躍動感があって、物語に彩りを与えているように感じられた。 特にフリスの空を見上げる絵が胸に刺さる。 その絶望も希望もない交ぜになったような複雑な思いは、いつか吹っ切れて前を向いて歩いて行く気持ちに変わると信じたい。その頃にはきっと王女様も、二人の思い出を辿りに来てくれるよ。
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語るには長い。 でも、私好みのストーリー。 ポール・ギャリコは好きな作家です。 手を入れて語れるようならやってみたい。
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『スノー・グース』自体は昔読んだことがあったが、新訳で絵本化、というので読んでみた。 絵は、とてもいい。訳もいい。 絵本と思って簡単に読めると思っちゃだめだけど。 これがきちんと読めて心に響くのは、小学生じゃ無理で、中学生でも人を選ぶから、やっぱり大人向けの本だと思う。
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A writer like a creator. 偶然手にした「雪のひとひら」が良作だったので。スノーグースのタイトルで短篇集も発見。snow goose は少数だが日本にも飛来します。这个不错。
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「ようやく一人前の仕事ができる」「ひとりで行くしかない」決意した彼は勇ましく、だからいっそうさみしい。夕暮れに別れを告げる彼の心が、湿原の風に響いてくる。捲るほど喉もとで言葉がつっかえるようで、何も言えなくなった。あの日フリスが運んだものは、ラヤダーへの光だったかもしれない。
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