果たし合い の商品レビュー
上司が貸してくれた本。筆者はまあ、ある世界での超有名人であるのは承知の上で、随筆の達人であるとの推薦だった。 一つ一つのお話は、随筆にしてはそれなりのボリュームで、最初少し戸惑ったが、いや、なんとも読ませる。ネタばれだが、これはある雑誌に連載した作品集。よって、あるものがお題にな...
上司が貸してくれた本。筆者はまあ、ある世界での超有名人であるのは承知の上で、随筆の達人であるとの推薦だった。 一つ一つのお話は、随筆にしてはそれなりのボリュームで、最初少し戸惑ったが、いや、なんとも読ませる。ネタばれだが、これはある雑誌に連載した作品集。よって、あるものがお題になっている。ただ、そのお題に寄りかかった話ではなく、ひとつひとつの話が、しっかりとした構成を持ち、かつ、筆者の巧みな文章力によって、ものすごく読み応えのある作品になっている。プロの文章力とはこういうものかと感服した。 随筆のような体裁だが、一つ一つが優れた短編小説の趣をなし、珠玉の私小説集といってもよいと思う。幕末歴史ファンとしては、中でもとりわけ土佐藩堺事件の話がもっとも印象に残った。
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