もしもソクラテスに口説かれたら の商品レビュー
著者が大学のゼミでおこなった授業内容にもとづいた本で、プラトンの『アルキピアデス』のなかの一節を題材に、哲学的な思索へと学生をみちびいています。 プラトンの二元論ということであっさり片付けてしまいそうになる議論ですが、「君の魂を愛しているのはぼく一人だ」と男に口説かれたときに納...
著者が大学のゼミでおこなった授業内容にもとづいた本で、プラトンの『アルキピアデス』のなかの一節を題材に、哲学的な思索へと学生をみちびいています。 プラトンの二元論ということであっさり片付けてしまいそうになる議論ですが、「君の魂を愛しているのはぼく一人だ」と男に口説かれたときに納得するのか、と問いに学生たちをみずから考えさせ、哲学の問題へ引っ張り込んでしまうのは見事です。最後には、哲学の問題は言語の問題であるという、ウィトゲンシュタイン的な立場からソクラテスの議論に対する著者自身の考えも示されていますが、もちろんこれが最終的な答えなどではなく、「もしソクラテスに口説かれたら」という問題のなかで思索をつづけることを読者に求めています。
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お茶の水女子大の学生1年生を対象に、プラトンのアルキピアデスの対話の数ページを読んで議論するという形式である。 1時間でできる内容であるので、他の大学の哲学の授業でも人数が少なければ可能な授業である可能性がある。
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どうにも読むのが面倒くらいなと感じて10年も積ん読立った本。論理を屁理屈をこねくり回す。哲学者ってそういう感じなんだろうなと思った。いい意味で。そんなふうに丁寧に論理を紐解いていくと、結局最初に立てたソクラテスに対する問いに答えを出すのは簡単ではないことが分かる。
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本書は、先生と学生との対話形式で進んでおり、読みやすいですが内容は難しかったです。 ソクラテスの口説き文句について考えていきますが、結論として哲学という学問は「言葉の学問」か「概念の学問」か分からないというところに行きつきます。 私も色々考えてみようと思いました。
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プラトンのアルキビアデスからの抜粋を元に、自己とは何か、愛するとは何か、身体と魂と心はどういう関係にあるか、ソクラテスの議論にはどういう問題があるか、をゼミでの問答形式で深めていくもの。軽妙な筆致で楽しく読めるが、かなり深遠なところに読者を誘っています。
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構成は、大学のゼミを通して、先生と学生との対話形式で話が展開していきます。そのため、基本的に話し言葉でつづられているため、「哲学」という内容の割に非常に読みやすいものになっています。そして最終的には、哲学とはどういうものか…ということが、さらっと触れられています。そこに至るまでの...
構成は、大学のゼミを通して、先生と学生との対話形式で話が展開していきます。そのため、基本的に話し言葉でつづられているため、「哲学」という内容の割に非常に読みやすいものになっています。そして最終的には、哲学とはどういうものか…ということが、さらっと触れられています。そこに至るまでの繰り返し繰り返しの議論が面白いです。 「僕らは緻密に考えることに慣れていないので、どうしても単純化して大雑把に考えてしまいます。ぼくがここでしゃべったことも、色々な点で緻密さが足りなくて、間違っているところも多いと思うんですね。正確に考えるのは難しいんです。でも正確に考えないと哲学の問題は解決できないから、苦しいところです。」 たしかに普段はどうしても楽な方向に流れがちになると思います…。仕事でも家庭でも、ついつい楽したくなって、流されて、あとになって、慌てて、取り繕う。取り繕うことができたら、まだ救いがあるけど、取り返しがつかないこともある…。 この本では、あえて考えすぎる方向でこれらの本と向き合ってみようかなと思いました。第一巻は、スラスラ読めたので、自分自身では考えすぎることはなく、先生や学生さんの「考えすぎ」の追体験に過ぎませんでしたが、それでもなかなか面白い体験でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
文中で何度か、哲学的な問いをかけられます。自問自答しながら読みました。 【備忘録】 「わたしはあなたの顔も性格も嫌いですが、あなた自身を愛してます。」 ・身体ではなく魂を愛すること ・身体と魂の境界は?心とは? ・脳死になったらわたしではなくなる? ・身体はわたしの一部か? ・言葉の問題:そもそも言葉は人が創り出したもので「わたし」や「魂」が何かはわからない。使う人によってその言葉は違う意味になる。
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ソクラテスからの口説かれ方 ソクラテスの考え方への理解が客観的で、土屋さんはソクラテスファンって訳ではなく一人の哲学研究者だと感じました。 「使う」と「使われる」に関する学生たちとの話し合いは長々していて退屈でした。先日古本屋で買った「ソクラテスの口説き方」読むのが少し憂欝です。...
ソクラテスからの口説かれ方 ソクラテスの考え方への理解が客観的で、土屋さんはソクラテスファンって訳ではなく一人の哲学研究者だと感じました。 「使う」と「使われる」に関する学生たちとの話し合いは長々していて退屈でした。先日古本屋で買った「ソクラテスの口説き方」読むのが少し憂欝です。
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他の土屋先生の本よりも笑いどころは少なかったけど、 でも、普段の授業の様子が垣間見えた。 哲学をどのように日常生活に生かすのか。 結構卑近な例に近付けて考えているのね~
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丁寧に、臨機応変に、哲学的な疑問に向き合うことの難しさがあふれている。最後の言語論的転回はやや性急な感もあるが、まとめる上でやむなしか。一気に読める入門書です。
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