幻の下宿人 の商品レビュー
凄すぎ、トポール。 ジャンル小説に沈澱しない唯一無二の作品世界を作り上げている。 手垢のついた恐怖表現ではない、根源的な嫌悪感が巧みな構成と上手く適合していて感動する。
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前半はシュールでナンセンスでダークな独特の世界観を愉しむだけだったが、第3章に入った瞬間怒涛の勢いで物語が転換し、暴かれ、一気に深く引き込まれた。 自分が自分であると証明することの理不尽な難しさ、不可能さ、滑稽さ。集団に対する個の無力さ。シュールでありながらも決して非現実的ではな...
前半はシュールでナンセンスでダークな独特の世界観を愉しむだけだったが、第3章に入った瞬間怒涛の勢いで物語が転換し、暴かれ、一気に深く引き込まれた。 自分が自分であると証明することの理不尽な難しさ、不可能さ、滑稽さ。集団に対する個の無力さ。シュールでありながらも決して非現実的ではない、起こりうる恐怖を独特な味わいで投げかけてくる名作。 アイデンティティとは何か?問われる作品だ。
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1964年に書かれたサイコホラー、あるいは陰謀小説の名作。おかしいのは自分なのか、周囲なのか。この話は妄想なのか現実なのか。貧乏なトレルコフスキーがようやく引っ越したアパートで住人たちが、いや社会全体が悪意ある陰謀によって彼を追い詰めていく。あるいは都会に引っ越してきた異邦人トレ...
1964年に書かれたサイコホラー、あるいは陰謀小説の名作。おかしいのは自分なのか、周囲なのか。この話は妄想なのか現実なのか。貧乏なトレルコフスキーがようやく引っ越したアパートで住人たちが、いや社会全体が悪意ある陰謀によって彼を追い詰めていく。あるいは都会に引っ越してきた異邦人トレルコフスキーの疎外感やすれ違いが生む妄想なのか。妄想か現実かどちらなのかわからないように書かれている。とはいえ我々は妄想だと思って読む。そうしないと世の中の陰謀が怖くなり読んでいる自分まで追い詰められてしまうからだ。現実と妄想の狭間を歩きながらリアルな恐怖を感じることのできる一冊。繰り返し読むと狂いそうな気がする。そしてもう完全にどっちだかわからなくなる恐怖のラストへ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 主人公のトレルコフスキーは、なけなしの金をはたいて引越しをする。 だが、そのアパートは地獄への入口だった! 男は次第に理性を失っていき、異常な行動を始める。 もし、この世の中に悪意が存在していて、手の込んだ陰謀が実際に企てられているとしたら…。 アイデンティティ喪失の恐怖を描いたフレンチ・サイコホラー。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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原題は Le Locataire Chimerique なので、直訳するなら「妄想に耽る下宿人」か。 ごく普通の実直な勤め人が、とあるアパートへ引っ越したが、 以後、恐ろしい目に遭うことに……というサイコホラー。 少しずつ歯車が狂っていく感じがジワジワ伝わってくる。 自分は結構グ...
原題は Le Locataire Chimerique なので、直訳するなら「妄想に耽る下宿人」か。 ごく普通の実直な勤め人が、とあるアパートへ引っ越したが、 以後、恐ろしい目に遭うことに……というサイコホラー。 少しずつ歯車が狂っていく感じがジワジワ伝わってくる。 自分は結構グロ・スプラッタ耐性のある人間なので、 大概のハッチャケたホラーは「ぎょえーっ!」などと叫びつつも 楽しめてしまうクチだが、 こういう、周囲が悪意を持って罠を仕掛けているのか、 本人が妄想に囚われているだけなのか、みたいな話はヤバイ。 身につまされるというか、地味に怖くて、読んでいてかなりブルーになった。 それにしても、すべてが主人公の妄想なのか、あるいは違うのか、 どちらとも受け取れるように、 邦題を「幻の~」と付けた訳者・榊原先生はエラい。 未見だが、ロマン・ポランスキーによって映画化されているとか。
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非常にわからんかった… でも、『つまみ食い文学食堂』で柴田元幸さんが「けっこうよかった」と言っていた。わからんよ、凡人には…
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