【廉価版】どろろ の商品レビュー
今でこそ名作のひとつに挙げられることの多い「どろろ」も、連載中は暗く陰惨な内容が読者に受け入れられず打ち切りの憂き目に会っていたそうな。今読み返すと、「ばんもんの章」(ベルリンの壁や板門店に対する風刺)に代表されるように反戦色の強い一面も見て取れます。 ラストのどろろ号泣から別...
今でこそ名作のひとつに挙げられることの多い「どろろ」も、連載中は暗く陰惨な内容が読者に受け入れられず打ち切りの憂き目に会っていたそうな。今読み返すと、「ばんもんの章」(ベルリンの壁や板門店に対する風刺)に代表されるように反戦色の強い一面も見て取れます。 ラストのどろろ号泣から別れに至る一連のくだりはかなりの名シーン。ニヒルな百鬼丸の性格や容姿は、そのままブラック・ジャックに受け継がれています。
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手塚治虫の漫画には、いつも圧倒的に引き込まれる。 独善的な名声と力を得るための代わりとして、目や鼻、足など四十八の部分を失って百鬼丸は生まれる。その醜さに親は川に流す。ブラックジャックがピノコを作り上げたように、拾われた百鬼丸は人間の形を作ってもらい、妖怪に奪われた部位を取り返...
手塚治虫の漫画には、いつも圧倒的に引き込まれる。 独善的な名声と力を得るための代わりとして、目や鼻、足など四十八の部分を失って百鬼丸は生まれる。その醜さに親は川に流す。ブラックジャックがピノコを作り上げたように、拾われた百鬼丸は人間の形を作ってもらい、妖怪に奪われた部位を取り返していくということが根底にある。最初から百鬼丸が持っている刀を狙っているどろろと、波乱万丈なストーリーが進んでいく。 映画が公開されたので、だいぶ前に買ったのはいいが、そのボリュームに手が伸びないでいた。でも読み出したらあっという間であった。
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映画化ということで全巻一冊です。コンビニで買ってきました。ずいぶん前に読んだきりなので後半など忘れていました。もしかしたら読んでなかったのかもしれない。妻夫木くんと柴咲コウちゃんの映画は第二、三弾まで決定したようですが、第一弾も見ていないので何とも言えません。 ともかく原作の方は...
映画化ということで全巻一冊です。コンビニで買ってきました。ずいぶん前に読んだきりなので後半など忘れていました。もしかしたら読んでなかったのかもしれない。妻夫木くんと柴咲コウちゃんの映画は第二、三弾まで決定したようですが、第一弾も見ていないので何とも言えません。 ともかく原作の方は濃厚です。 ずいぶん描き飛ばしている感もありますが、当時の手塚さんは週に八本もの締め切りを抱えているとかそういう時期だったはずで、クオリティが下がるのも仕方がない。下がったといえども標準以上というのが手塚治虫のすごいところでもある。構想ではこれの三倍くらいのボリュームがあったのではないかと思わせる伏線の張り方で、最後もぶつ切りのように途端に終わる。 最初の段階ですでに百鬼丸は十数体の妖怪を倒しているのでその時点でだいぶはしょられている。結局失われた体のすべてを取り戻すところまでは描かれていない。あくまで「どろろ」は断章なのだ。しかしそれで良かったとも言える。成長したどろろはどんな姿で立っていればいいのか。全ての肉体を完璧に取り戻せた百鬼丸は何を語れば良いというのか。
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