アメリカ外交の政治過程 の商品レビュー

浅川公紀【著】

2015/10/18

日本政治からのアナロジーで捉えにくいアメリカ外交を支えるアクターについての概説。勉強にはなったが、中身の割に高い。新書で類書がないものか。

2012/02/24

ケネディが素晴らしいリーダーシップを発揮できたのはアメリカ国民の圧倒的な支持があったから。
レーガンはワシントン政界に対しては門外漢だったが、有能な閣僚やスタッフを多く登用し、日常的な政策決定、運営の謙譲を中核のスタッフに委任した。レーガン自身は持前の卓越した弁舌力と説得力で国民の前に外交と内政のビジョンを示しアメリカ国民から自分の政策への支持を集めることに成功した。

アメリカ大統領の権限は地上最大といっていいほど強大なものであるが、事実上このような大統領の強い権限が備わったのは第二次大戦以降。それまでのアメリカは大国でありながら、その国力の影響を国際政治に及ぼそうとすることは少なかった。

大統領の強権を支えるものは、なんといっても大統領が入手できる情報量が非常に多いこと。その点では議会も足元に及ばない。大統領は国民や議会が手にすることのできない国際政治、経済、そのほか様々な情勢に関する膨大な情報を独占でき、したがって国益に影響を及ぼす可能性のある様々な危険を予測すうることについてきわめて有利な立場にある。まさに権力は知識であり、外交関係閣僚がこの種の知識を保有している。これが大統領の議会に対する優位性の原因となっている。

国家安全保障会議は大統領がホワイトハウスを中心に外交・安全保障政策を立案・推進するための手段として組織されたもので、大統領統治の媒体である。

条約交渉において中心的役割を担うのは、各国に派遣される全権大使。

アメリカの国民性からくるアメリカ外交の特徴は理想主義的な原則とプラグマティズムとの矛盾。外交政策の道徳化にもかかわらず、実際のアメリカ外交は国家安全保障の理念に基づく国益の追求という形で展開されることが多い。

もっぱら外交問題に取り組んだ最初のシンクタンクはカーネギー平和財団で、戦争の原因を調査し紛争の平和的解決を促進するために1910年に設立された。
最も歴史の古いシンクタンクは外交問題評議会は反孤立主義を掲げ、第一次大戦後に創設された。Foreign Affairsを刊行してアメリカ国内外で最も影響力の高い雑誌である。
最も有名なリベラル系シンクタンクはブルッキングス研究所。