イスラムの読み方 の商品レビュー
借りたもの。 日本の価値観や、欧米の価値観で計ってはならない事を強調する。 イスラームを考える上での良著。出版されたのが今から10年前だが、深い洞察は今読んでも褪せない。 イスラームの人々に、人と人との契約という概念は存在せず、神と人との契約が全てであるという。 それはイスラー...
借りたもの。 日本の価値観や、欧米の価値観で計ってはならない事を強調する。 イスラームを考える上での良著。出版されたのが今から10年前だが、深い洞察は今読んでも褪せない。 イスラームの人々に、人と人との契約という概念は存在せず、神と人との契約が全てであるという。 それはイスラームの開祖・ムハンマドは宗教家であり、商人であり、軍人であったため、政教分離、公私の意識が全く無かった事が一因にあると指摘。 キリスト教の後に成立しながら、初期セム系一神教の教義に回帰するような内容で、三代目スルタンが異本を全て破棄させたために、ワンパターンになってしまった事、ムハンマドを最後の預言者として規定してしまった(確かにその後、1400年間、天使に預言された人物が一大宗教を起こすに至っていない)ために、進歩の思想が欠けていると鋭い。 読んでいくと一言で“イスラーム”と言っても、宗派の違いやトルコ人、アラブ人など多民族でもあること、 私の中で、オスマン帝国の頃がイスラームと他の宗教を抱えながら長い統治をしていたので“良き時代”だと思っていたが、一切の進歩が止まった“暗黒時代”という記述に眼から鱗でもあった。 また、日本も日本で経済支援やそもそもの概念(「アジアは一つ」ヨーロッパ大陸との対立構造的なもの)に誤解が在ることを問題視している。 そうだとしたら、先の大戦の頃の価値観と変わらない……日本は未だに進歩してないという事になる |||orz
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1979年の対談が2005年に新版として出されたもの。自分がイスラムや中東のことをよく知らないので読んでみた。日本人がなぜイスラムやユダヤ教を誤解しがちなのか。それを述べるために語られる「日本人」の「世界」観が今でも通じるのがおもしろい。「日本のリーダーは世話人、リードをしてはい...
1979年の対談が2005年に新版として出されたもの。自分がイスラムや中東のことをよく知らないので読んでみた。日本人がなぜイスラムやユダヤ教を誤解しがちなのか。それを述べるために語られる「日本人」の「世界」観が今でも通じるのがおもしろい。「日本のリーダーは世話人、リードをしてはいけない」とか。自分という意識が希薄とか。特に私自身にとっては、震災後に改めて実感した、子どもの身体を借りてしか自分を伝えられない母親たちの存在に繋がる。 国家が決めた国の法律つまり人どうしの契約よりも、一神教の神との契約の方が優先される。契約相手の神様の違うものどうしが、人間が決めた国境の中でそれぞれの法律で物事を決める。人が決めた国境ももちろん関係ない。 というのが、イスラムやユダヤの社会。 本書の中では今の北アフリカやヨーロッパの出来事には当然触れようがないのだが、宗教を乗り越えて人どうしの関係を優先させて前へ進みたい人たちと政治と信仰が切り離せない人たちとの間に軋轢が生まれる理由が理解できた。 (海が事実上の国境であり、道であり、関所でもあった日本列島人が、そこにある食料も資源も限られたものという認識で、分け合うことを優先してきたとして、それ自体はなんら悪いことではないと思う。が、一歩海を越えれば、そうじゃない人たちの方が多いし、そういう人たちと共に生きるつもりなのであれば、相手の考え方や手順を理解してあげなくてはいけない。こともある。と思った。)
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中東には民族はなく、宗教があるのみ。 コーランは声に出して読むもの。 コーランは、キリスト教、ユダヤ教の影響が非常に強い。 イスラム社会では女は男の財産。 イスラム教では労働は一番下層の人間がやること。 イスラム世界の5つの階級 1.イスラム教徒 2.マワリー(改宗者) 3.ジン...
中東には民族はなく、宗教があるのみ。 コーランは声に出して読むもの。 コーランは、キリスト教、ユダヤ教の影響が非常に強い。 イスラム社会では女は男の財産。 イスラム教では労働は一番下層の人間がやること。 イスラム世界の5つの階級 1.イスラム教徒 2.マワリー(改宗者) 3.ジンミ(聖典の民:キリスト教徒、ユダヤ教徒) 4.偶像教徒 5.奴隷 ユダヤ人はひげをそることを禁止している。
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この本を読む為に、イスラム教の初心者本で自分の知識を復習してから読んでみたのだが…著者達は対話形式で、イスラム、ユダヤ、パレスティナキリスト教の歴史や問題山積の現状を説明し、なかなか手厳しい解釈を述べている。欧米や日本のマスコミが決して書かないイスラムの事情や欧米、アラブの本音に...
この本を読む為に、イスラム教の初心者本で自分の知識を復習してから読んでみたのだが…著者達は対話形式で、イスラム、ユダヤ、パレスティナキリスト教の歴史や問題山積の現状を説明し、なかなか手厳しい解釈を述べている。欧米や日本のマスコミが決して書かないイスラムの事情や欧米、アラブの本音にも触れられていてそれは興味深い。要するに様々な民族、感情、利益、歴史が混じり合ってアラブ世界も一枚岩では無いのだが「アメリカを敵」とすることで何とかイスラム世界はまとまっていると言えるのか。結局なぜ欧米、日本と折り合えないのか…と訊かれても「根本的に違っているし、そこに利害関係が絡んだら相互理解は不可能だから」としか答えようがないだろう。砂漠の民と島国の民では生活環境がまったく違い何を最も遵守すべきかという事からして違う。そもそも欧米や日本の主義や理論を、イスラムに当てはめようとする事自体が空しい。だが…それを語っていながらも、あくまでも著者達は「欧米、日本人の思考」からイスラムを分析しようとしているように見える。そこが少し物足りなかったかもしれない…もう少しイスラムの側の突っ込んだ思考が知りたかった。(イスラムは複雑すぎて、そこまでやったら収集がつかなくなるというのはわかるが)
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