ヴェルレーヌ詩集 の商品レビュー
何と言ったらいいのだろうか…すごく幸薄いひとだと感じた。それは愛する妻やランボー、教え子に背を向けられ、貧困のうちに死んでいったからではない。そんなのとは関係なしに、このひとの書く詩からは、何かにすがらずには生きていけないと庇護を求めるような、そんな力弱さが滲み出ている。 たしか...
何と言ったらいいのだろうか…すごく幸薄いひとだと感じた。それは愛する妻やランボー、教え子に背を向けられ、貧困のうちに死んでいったからではない。そんなのとは関係なしに、このひとの書く詩からは、何かにすがらずには生きていけないと庇護を求めるような、そんな力弱さが滲み出ている。 たしかに彼の信仰心は格調高くすばらしいものかもしれない。しかし、それさえも、拠り所なく受け入れてほしいという主張がものすごく強くて、もう神様でなければ誰も受け入れられない、そんなところまで陥っているような気がする。一定の詩のリズムだけが、彼の不安を落ち着かせる。 高踏派の目指したあの象徴的で独特のリズムのよい詩のスタイルも、彼にとっては、自分の存在の拠り所としてしまっている。だからこそ、書けるのかもしれないが。 彼のこの承認欲求は一体なんなのだろうか。ランボーが愛想をつかすのもよくわかる。ランボーが他者を渇望するのは、それは自分ではない何者かというものが不思議でしょうがないからだ。ヴェルレーヌの欲求とは次元が違いすぎる。これほどまでに自分というものが無いひとと共にいるのは息が詰まる。信仰や詩のスタイルにすがっているだけで自分がなく、他人にすがることで自分を確認しようとする。強烈なこの不安は、強烈な自己愛の裏返しである。それに気づいていないからなお性質が悪い。どうして彼は、酒や他者などをだしにしないで、今一度、なぜこの自分は書いているのだろうか、そう問わなかったのか。 お前はわたしじゃあない。そんなの知らん。ランボーは出ていく。どうせ死ぬ死ぬ言っても、それも誰かがいなきゃできないんだから。どうぞお好きに。ランボーもたいがい意地悪ではあるが、ランボーにはどうしようもないんだから、こうするよりしょうがない。 ひとの巡りあわせにつくづく運がないと思う。そも、詩人として生きるのは、彼に無理があったのかもしれない。それでも書き続けたあたり、好きで好きで仕方なかったに違いない。もう少し、彼がものを考えられるひとであったなら、それを誰かが示せたのなら、彼の情熱はもっと花開いたのかもしれない。けれど、実際そうならなかったということは、結局彼の星はそういうものでしかなかったんだと思う。
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ドビュッシーの「月の光」が好きなので。全部は未だに読んでいないので時間があるとき、ふと読みたくなった時にまた読んでみます。
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いい詩もあるけど・・・・総合的にみると普通かな。高校一年生の無知な私には語彙が学べてうれしい、そんな利点もありました
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アウトデイティッド ・一節一節は美しい響きを備えているものもあるのでしょう。 ただ、節と節のつながりの希薄さが、ひとつの詩としての 一体感を弱めている作品が多いと感じます。 ・ひとつの詩があたえる物語的なイメージというものが 広がりにくい、固定的な印象をうけます。...
アウトデイティッド ・一節一節は美しい響きを備えているものもあるのでしょう。 ただ、節と節のつながりの希薄さが、ひとつの詩としての 一体感を弱めている作品が多いと感じます。 ・ひとつの詩があたえる物語的なイメージというものが 広がりにくい、固定的な印象をうけます。 ・詩というものが、限られた人にしか読まれず 限定的な地位しかあたえられていないのは、 そのような、とっつきにくさのせいではないでしょうか。 ・また、古典的な日本語の美しさというものも 程度の問題であり、流れと響きを淀ませるほどに 多用するべきものではないと感じます。
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なんとなくですが、日本ではランボー、マラルメより知名度が 低く感じます。。 しずくを落とすように 心を甘く せつなく 湿らせてゆく・・・・ そんな感傷に浸れます。
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ランボーの詩はどちらかと言うと暴力的な感じですが、ヴェルレーヌの詩は繊細でとても美しいので私的には彼の方が好きです。
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机の上においている真鍮の本棚にいつもこの本は入っています。 どうしてこんなことを書けるんだろう、と読むたびに思います。 フランス語原文でよめればいいんだけどなー。訳の美しさにもただただ感嘆します。
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高踏派の強い影響下に出発したが、やがて独自の音楽的手法を駆使した斬新な詩的世界を確立し、終生飲酒・放蕩の悪癖に悩まされ、ランボーとの同性愛事件では2年間の獄中生活を送ることにもなった。
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