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実録 北朝鮮の性 の商品レビュー

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2021/06/22

映画「JSA」の脚本やミュージカル「Yodok Stories」を製作した脱北者の映画監督・鄭成山が「北朝鮮の性」の話を書き集めたもの。 「実話」とされているが、さて・・・正直、煽情的な話ばかりであるため、大きく脚色されているのか、はたまた北朝鮮内でささやかれる「性に関する噂」...

映画「JSA」の脚本やミュージカル「Yodok Stories」を製作した脱北者の映画監督・鄭成山が「北朝鮮の性」の話を書き集めたもの。 「実話」とされているが、さて・・・正直、煽情的な話ばかりであるため、大きく脚色されているのか、はたまた北朝鮮内でささやかれる「性に関する噂」を「実話」として書いているのか、私には判断できない。 北朝鮮映画でも、ある程度の歳になった女性が若い女性に向かってかなり直接的にセックスを連想させる言葉をかけるシーンが登場する。北朝鮮も人の住む世界であり、身近な人同士でわいせつな噂話を楽しむことはあるだろう。本書は、そうした「噂話」と区別がつかない部分が多々ある。 とはいえ、興味深い点もある。 その一つが「火線入党」という言葉である。もともと火線入党とは「戦時に手柄を立てたり、特別の実績をあげたことによって入党が許されること」だという。「火線」という単語は「火線式政治事業」や「火線宣伝、火線扇動」という具合に日常的に使用され、辞書では「最前線」と解釈されている。 本書によると、幹部に体を提供することで入党させてもらうことも、隠語で「火線入党」と呼ばれているそうだ。さもありなん、という話である。 脚色されていると思われる話の中にも、たまにふと北朝鮮の性のリアリティが現れる。そういう意味では興味深い本である。

Posted byブクログ