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中濱鐵 隠された大逆罪 獄中詩篇 の商品レビュー

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2009/10/04

「トスキナア」の別冊。「トスキナア」というのは、ほかではない「アナキスト」の逆立ち言葉だ。中浜鉄という詩人がいた。本名は誓う。哲という名も使った。1897年1月、福岡県企救郡東郷村(現北九州市門司区)生まれ。生家は漁村で郵便局を営んでいた。20年末に加藤一夫を中心として設立された...

「トスキナア」の別冊。「トスキナア」というのは、ほかではない「アナキスト」の逆立ち言葉だ。中浜鉄という詩人がいた。本名は誓う。哲という名も使った。1897年1月、福岡県企救郡東郷村(現北九州市門司区)生まれ。生家は漁村で郵便局を営んでいた。20年末に加藤一夫を中心として設立された「自由人連盟」に参加。機関紙『自由人』には「宣伝部」として富岡誓の名が記される。22年、ギロチン社を古田大次郎らと立ち上げ活動、爆弾入手の資金調達の過程で逮捕され26年4月15日、処刑されている。アナキストで関東大震災の直後に惨殺された大杉栄を詠った「杉よ!眼の男よ!」は有名だ。しかし、この中浜らのギロチン社の事件の全貌は、当時の緘口令の中で新聞報道自体少なく、1審では無期判決だったものが、大阪控訴審で1審判決を破棄、死刑判決を受け、上告をせずに刑死したことは分かっているが、その裁判の内容も知られていなかった。その公判の手掛かりが、どうやら情報公開の請求で、一部であっても明らかになった。その史料公開だ。その結果、中浜の控訴審で初めて弁論を行っている内容が判明した。その内容が事実であるとすれば、これまで明治以来4件しかないとされてきた「大逆事件」にもう1ページが付加えられることになる。それだけにこれまで厳重に秘匿されてきたのであろう。「情報公開」という手続きによって歴史的な事実が、秘匿のベールを脱いでいくことになるかもしれない。

Posted byブクログ