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思想の死相 の商品レビュー

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2012/09/01

73点。完全に積ん読状態だったがようやく読了。 「生き生きとしたもの」を嫌う仲正センセイの文章をベタに受け取って共感すれば、ああ結局これ生き生き系だよな、とかあらためて思ったり。 エクリチュールは完成したものではないし、「生き生きとしたもの」を書いたってそれは死骸でしかない。そこ...

73点。完全に積ん読状態だったがようやく読了。 「生き生きとしたもの」を嫌う仲正センセイの文章をベタに受け取って共感すれば、ああ結局これ生き生き系だよな、とかあらためて思ったり。 エクリチュールは完成したものではないし、「生き生きとしたもの」を書いたってそれは死骸でしかない。そこにリアルさや「生き生きとしたもの」なんてない、どころか「生き生き」と語ることの危険性について、現代思想の代表人物十名を挙げながら論じていく。 アドルノ、ベンヤミン、アーレント、デリダ、フーコー、ニーチェ、ハイデガー、ラカン、マルクス、スローターダイク。この辺にピンときたら、オススメでしょうか。

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2011/12/06

現代思想の解説本をはじめ多くの著書がある著者の新刊。 思想と死の関係、という切り口から10人の大思想家について解説している。そして、それは同時に「生き生きと」思想を語る人々への批判でもある。 まずもって読み物として非常に面白かった。 かなり探し歩いて、念願かなってという感...

現代思想の解説本をはじめ多くの著書がある著者の新刊。 思想と死の関係、という切り口から10人の大思想家について解説している。そして、それは同時に「生き生きと」思想を語る人々への批判でもある。 まずもって読み物として非常に面白かった。 かなり探し歩いて、念願かなってという感じで手に入れたこともあり、夢中になって読んでしまった。 そして、解説としてもわかりやすかった。 神を殺して、頼るところのなくなった人間。 いかにして倫理は存在できるのか。 そして、人間は「人間」をも殺すことになる。 彼らの本を読んだことなどあまりなく、まして彼ら自身であるわけでもないのに、解説としてわかりやすかった、などと言ってしまう。なぜなのか。きっと、読めば分かります。 ニーチェの章や、あとがきは圧巻だった。 こんな本を「生き生きした」ものとして感じてしまう私は変わり者なのでしょうか。w この本を生き生きと批判する人がいればいたで面白い構図。ネットイナゴの皆さんや、院生なんかのみなさんには是非頑張って頂きたいですw

Posted byブクログ

2011/12/05

帯の「現代思想の入門書」という文句とユニークなタイトルに惹かれて買って読んでみたが、私が以前に読んだ仲正氏の日本とドイツの思想比較をテーマにした新書よりも抽象度が高く、理解が及ばない箇所が多々あった。 この本は、アドルノ、ベンヤミン、アーレント、デリタ、ハイデガー、フーコー、...

帯の「現代思想の入門書」という文句とユニークなタイトルに惹かれて買って読んでみたが、私が以前に読んだ仲正氏の日本とドイツの思想比較をテーマにした新書よりも抽象度が高く、理解が及ばない箇所が多々あった。 この本は、アドルノ、ベンヤミン、アーレント、デリタ、ハイデガー、フーコー、マルクス、ニーチェ、ラカン、スローターダイクの10人の思想を章に分けて、著者のテーマに合わせて引用しつつ解説・解釈して話が展開していく形式をとっている。 私としては不十分な理解なりにも、ニーチェの「超人」に関する思想をバカボンのパパを題材にして論じている章が、妙に説得力があるように思われ楽しめた。

Posted byブクログ

2010/01/10

 本の帯に「18歳から読める現代思想の入門書!」とあり、確かに現代思想の代表人物を取り扱っている内容だが、あくまで仲正の読みによるものであり、教科書的に概論をしているものではなく、自分の主張のためのものであることを前提にして読むべきである。平易には書かれているが決して教科書のよう...

 本の帯に「18歳から読める現代思想の入門書!」とあり、確かに現代思想の代表人物を取り扱っている内容だが、あくまで仲正の読みによるものであり、教科書的に概論をしているものではなく、自分の主張のためのものであることを前提にして読むべきである。平易には書かれているが決して教科書のような位置づけにはならない。  とは言え、別に批判して難癖をつけるためにこの点を断ったのではなく、以上の点を前提にして読むと非常に著者の主張が過度にエキサイティングなものではなく且つ冷徹・慎重に展開されているのがよく分かる。  本書では現代思想の10人の代表人物を取り上げながら、哲学・思想が<死>と不可分に結びついていることを述べつつ、「生き生きとした世界」へ回帰しようという主張がいかに危険であるかを論じている。取り上げられた各思想家は論点は違えど、彼らは「生き生きとした本来あった世界」へ戻るために、その名の下に非人間的な行為や現象が起こっている現実(よくナチスが「ドイツの本性回復のため(=ここが「生き生き」したものへの渇望)」に立ち上がったものいうことで、例示されている)に対して過敏に反応していたことが分かる。そして、哲学・思想が既存の<エクリチュール>(これが、「生身のライブ<Leben(生)>というわけではない」という意味での所謂「死(Tode)」したもの)からしか出発できない厳然たる事実を認めなければならないと警鐘を鳴らす。  普段の日常生活の中にも「生き生き」を語るものが多いが、その危険性を十分に認識されぬままに過ごしていく問題が非常に多い。見事に人間や世界の危険性をクリアに記載された本である。

Posted byブクログ