船宿たき川捕物暦 の商品レビュー

樋口有介【著】

2020/07/04

樋口氏の作風に時代小説は合わないだろうと勝手に決めつけて今まで読まずにいたことを後悔しました。
主人公の真木倩一郎は樋口作品史上でも珍しい明らかな男前の超武闘派ですが、表面的には冷めているものの熱い心を持っている共通点は健在。女性に対して口が上手いのもいつもの通りですが、行動力はピカイチという点が他作品の主人公とは一線を画しています。
長屋の住人や目明しとの交流、江戸の日常の描き方などは初めての時代小説とは思えない堂に入ったものでした。

長屋住まいの浪人からすれば田沼、松平といった幕府の重鎮たちは雲の上の人のはずなのに、、、という違和感がありますが、エンタテイメント作品なので大丈夫。
樋口作品は時代小説でも面白かったです。

そもそも舞台がまさに今住んでいる付近で土地勘があるので、当時の様子を想像しながら読める楽しみがありました。次作を早く入手しなければ。

2015/11/13

著者初の時代小説とのこと。しかしながら、初とは思えないくらい、違和感なく面白く読めた（上からでスミマセン)。
ただ、やっぱり主人公の女性に対する口の上手さは時代小説においても健在のよう(笑)。どちらかというと時代モノには女性に対しては口下手な主人公剣客が多いだけに、倩一郎の人物設定は新鮮だったかも。キザったらしい言葉も様になっていて、キュンとなった。
陰謀の結末がちょっと頼りなかったのが残念なところ。これが真相なら狭量過ぎじゃない？？定信よりは田沼派の私なので、ちょっと納得いかないワ。
と言いつつ、全体的には楽しめた。テンポ良く会話も進み、非常に読みやすかった。続編があるので、それも楽しみ。シリーズ化してほしいデス。

2011/04/16

話は比較的よくできていると思う。しかし時代小説をほとんど読んだ経験がなかったので、読むのに苦労してしまった。

2010/06/16

　ただ今、強力プッシュ中の樋口有介、初の時代劇です。

　主人公は、父と白河藩を出て、父の死後は道場で師範代をしている浪人真木倩一郎。誘拐されそうになった女性を助けたことで、目明しの米造と懇意になり…。

　いやああ、面白かったっす。
　ちょっと心配してたんですけど＜をい　いや、青春小説の樋口さんってイメージがあるので、時代小説ってねぇって思ってたんだけど、むしろ雰囲気あってました。樋口さんの主人公は、クールででもやることやるし、女の子にはちゃんと優しい言葉も言える、そんなタイプが多いのだけど、倩一郎もそんなタイプ。惹かれた女性を助けるために、奔走し、理由を尋ねられたらぬけぬけと「素浪人の一婦女に対する恋情ゆえに」と言っちゃうんだもの。
　格好いいっす。

　そして、時代小説としての骨格もしっかりしてて、骨太な感じです。
　当時の江戸の風俗を入れてくるのが、やっぱり上手いね。
　樋口さんの小説は、その時代、その場所の、匂いというか空気というか、温度と湿度みたいなものが感じられるところがよいのです。

　で、これは続きます。
　つか、シリーズの最初ってことで、登場人物の顔合わせみたいな要素が強い。ま、それがちょっと弱いといえば弱いんだけど、シリーズの最初でこの設定で、ってなったらこれ以上は無理っしょｗｗ
　ってことで、次期待してます。

　なるべく早く出してくださいねm(__)m

2011/08/28

樋口センセ初の時代小説♪時代が江戸に移っても樋口ワールドは健在です！主人公・倩一郎さんはやっぱりかっこいいんです（ハート笑）理由あって長屋暮らしの貧乏お武家さんなのですが「いっそのことお武家なんかやめて、役者にでもおなんなね」と言われるくらいの男前。その上　今回は超強い！小野派一刀流の達人であります。　そして樋口センセの描く江戸の町の風景や、町に聞こえる音の描写が　すっと読者を江戸時代にタイムスリップさせてくれます。とっても面白い時代劇のDVDを一気に見た！そんな気分。読み出したら止まりません。