派遣のリアル の商品レビュー
派遣の実態が俯瞰された話と、実際の派遣者の実話とを交えて、リアルに語られる。これを読むと、400万円の年収が勝ち組だということがよく分かる。解決策は、見えない。
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派遣の実態。 非熟練工を使う企業と、人材派遣会社との関係。2007年の頃執筆。つまり、偽装請負や多重派遣などがまかり通っていた頃の時代。 人材の流動性が一定線を超えたことで、企業は新規正社員を雇用する費用(イニシャル:約200万円/一人 300万円/年間)と、派遣社員を給与の1...
派遣の実態。 非熟練工を使う企業と、人材派遣会社との関係。2007年の頃執筆。つまり、偽装請負や多重派遣などがまかり通っていた頃の時代。 人材の流動性が一定線を超えたことで、企業は新規正社員を雇用する費用(イニシャル:約200万円/一人 300万円/年間)と、派遣社員を給与の1.4割増で雇う(420万円/年間)とで揺らぐ。 工場の自動化やシステム化により、オペレーターは熟練性を必要としなくなった。30分も説明を受ければプロ級の腕前だ。つまり、熟練性が不要であることで、労働市場の最安値で雇うのが経営判断となる。 すると、正社員を雇用し、すぐに辞めるリスクと、福利厚生の爆弾を抱えるよりも、材料費の勘定科目で計上できる派遣社員の方が非常に使い勝手がよいのだ。簡単に増やせて、簡単に切れる。素晴らしいシステムだ。 最も、自身のスキルが業務を通じて上がる見込みが全くない労働者は未来に絶望している。スキルアップをしていく、というのは派遣会社の煽り文句であり、実際は過半数の派遣労働者は生活費のために働いており、将来に対して不安を抱いているという。 法律に抵触している職場も少なくなく、求人広告と実態とがかけ離れているケースが大半。(これは今でも変わりない) 無知な若者を、法律で保護されるべき対価すら払わずに労使し、貧困のスパイラルに陥れることで、派遣として今後も安い賃金で働かざる負えない環境を見事に創りだした功績は大きいだろう。 これからも、今後も、無知をいいことに付け込んで、格安で働かせる。まともな契約書面は残さない、足がつくような真似はしない。 労働組合を作るにも、労働者の流動性が高すぎることで雇用側がいいように調節できる。 使う側にしてみると、とてもありがたい素晴らしい制度なんだ。 需要と供給の世界で言うと、その派遣業界で非熟練工に分類される若者たちは、200万前後の価値しかないということになる。 その通り、非熟練工は300万円の価値すらもない。まして、30代後半で体力のない、また飲み込みの遅い者は、200万円の価値すらもない。 不要なんだ。彼らは。 派遣先は、彼らにスキルを学ぶ環境は提供しない。上辺だけなら、業務を学んでスキルアップをしてもらいたいと何度も語り続けるだろうが。 熟練性を持たせない、スキルの得られない労働者を大量生産するこのシステムは、社会全体として破綻する。 社会的には狂っているとわかってていても、使わざる負えない企業。そして中間搾取も分が悪く自身の労働環境も悪化させている派遣会社。そして貧困スパイラルに落ちて派遣として生きる道しか見えない中年たち。 政治介入なしに解決は無理だ。
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派遣労働者からのインタビューも含め、派遣ビジネスと派遣労働の歴史と現状についての概要。派遣労働者を半ば騙して派遣会社が契約を結んだりすることや、弱みに付け込んで違法な契約プロセスを要求する企業の存在など、派遣ビジネスの問題を提起している。 個人的には問題が矮小化されていることと、何が問題の根本なのか、解決のために何をすればよいかについての考察が薄いことが不満。 一番良く出てくる記述が、派遣会社が派遣労働者の給料をピンハネしているということ。しかし、派遣契約ではない、通常の業務委託契約であっても、社員の給与分は契約金額の3割程度であろう。そのことを考えれば、派遣労働者の給与が契約金額の半分程度であるということは特に異常ではないと思う。この問題の本質はここではないのだ。 この問題を解決するためには、なぜ企業は派遣労働者を雇うのか、という疑問に対する解を見つけるところからはじめる必要があると思う。経費が安く済む。確かにそれはもっともな理由に思える。でも本当にそれだけなのか?企業経営者の視点から派遣ビジネスの問題点に斬りこむ視点が欠けているのは残念に思う。 自助努力で負のスパイラルから抜け出す努力をしようといっても、それが簡単にできるようなら苦労はしない。やっぱり企業のサポートだって必要だ。派遣労働者をやとうことと新入社員を育てること。それぞれにどういうメリット・デメリットがあるのか。この点を明らかにし、人に投資をしない限り企業には未来がないということを示さなければ、企業は決してお金を出しはしないと思う。
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リアルな闇金うしじまくんの世界が生々しく語られている。 アメリカては正社員と派遣で給与差があまりないってとこが新鮮だった。
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【メモ】 80年5月 労働者派遣事業問題調査会の設置 86年7月 労働者派遣法成立(適用対象業務13業務) 86年10月 適用対象業務3業種が新規に追加 99年12月 改正労働者派遣法成立 00年12月 紹介予定派遣が解禁となる 04年3月 改正労働者派遣法成立 (派遣期間...
【メモ】 80年5月 労働者派遣事業問題調査会の設置 86年7月 労働者派遣法成立(適用対象業務13業務) 86年10月 適用対象業務3業種が新規に追加 99年12月 改正労働者派遣法成立 00年12月 紹介予定派遣が解禁となる 04年3月 改正労働者派遣法成立 (派遣期間の延長、製造業務の派遣が解禁)
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[ 内容 ] ワンコールワーカー、偽装請負、データ装備費問題、ネットカフェ難民…「ハケン」から日本の未来が見えてくる。 『ワーキングプア』の門倉貴史が鋭く問う! 派遣労働者、大手派遣会社社員への取材ドキュメントも10本収録。 [ 目次 ] 第1章 日給6000円で働く人たち(拡大する日本の人材派遣市場 派遣会社の形態あれこれ ほか) 第2章 10分で分かる派遣の歴史(1985年までは禁じ手だった日本の派遣ビジネス 1966年に米国の人材派遣会社が日本に上陸 ほか) 第3章 使い捨てられる女性派遣の現実(理想と現実のギャップが大きい派遣の世界 増加する女性の派遣社員 ほか) 第4章 ネットカフェ難民と団塊派遣(ホームレスが減少する傍らで増える「ネットカフェ難民」 「ネットカフェ難民」になりやすい「ワンコール・ワーカー」 ほか) 第5章 労働ビッグバンは派遣に何をもたらすのか?(「労働ビッグバン」は派遣社員を救えるのか? 骨抜きになった労働契約法案 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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団塊の世代が定年退職をして、それが派遣として増える可能性がある。すれば若年労働者に圧力がかかってくるのはいうまでもない。 ノマド的なとらわれない生活はのぞましい。しかし、苦労してしかもそれがいつまでつづくかわからない、派遣生活というのはどうにかならないものか。 ベーシックイン...
団塊の世代が定年退職をして、それが派遣として増える可能性がある。すれば若年労働者に圧力がかかってくるのはいうまでもない。 ノマド的なとらわれない生活はのぞましい。しかし、苦労してしかもそれがいつまでつづくかわからない、派遣生活というのはどうにかならないものか。 ベーシックインカムについて勉強してみるか。
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タイトルの通りである。 柔軟かつ新しい働き方として、一時期持ち上げられ、 不況を境に突然手のひらを返されたような、派遣労働を扱った新書。 統計データと個別のケースの合わせ技で、 筆者の主張・指摘・意見がかなりの重みを持って読者に迫ってくる。 だが、本著で指摘されているこれだけの...
タイトルの通りである。 柔軟かつ新しい働き方として、一時期持ち上げられ、 不況を境に突然手のひらを返されたような、派遣労働を扱った新書。 統計データと個別のケースの合わせ技で、 筆者の主張・指摘・意見がかなりの重みを持って読者に迫ってくる。 だが、本著で指摘されているこれだけのデメリットに関して、 派遣労働者たる「彼ら」の多くが、そうした労働形態に身を委ねる前に 把握していなかった(だからこそ、突如として問題視されているのだろうけれど)ということに対して、 相当の危うさを感じた。 法律はもちろん、経営に関するリテラシーの重要性を痛いほど感ずる。 なぜ甘言に乗せられてしまうのだ。 大切な、自分の人生を……。 悔んでいる「彼ら」が、思う道を生きられるよう願う。 「労働力は商品ではない」 雇用者・経営者にも、よくよく胸に手を当てて考えてほしい。
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一見、難しそうな感じがしたけど、とても読みやすく構成されていて、どんどん読み進むことができた。 本当に社会のひずみを感じる。。。 人がもののように扱われる時代。 私も失われた10年の時代に生きる身、なんとか乗り越えて行かないと。。。。
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今や日本の労働市場を支える派遣労働者。ついに製造業にまで派遣が解禁され、当たり前のように、グッドウィルやフルキャストといった派遣会社の名前を耳にするようになった。 本書は、派遣労働者の労働の実態について記述してあり、その生活を詳しく知ることができるほか、労働者を使用する側に当...
今や日本の労働市場を支える派遣労働者。ついに製造業にまで派遣が解禁され、当たり前のように、グッドウィルやフルキャストといった派遣会社の名前を耳にするようになった。 本書は、派遣労働者の労働の実態について記述してあり、その生活を詳しく知ることができるほか、労働者を使用する側に当たる大手派遣会社社員にもインタビューを試みており、「派遣」というものを両面から見つめた好著である。 本書から引用(一部改変)して、派遣労働者の実態を少し知っていただきたい。 「トラック運転手の助手をやったとき、その運転手が言った。『アンタらは気軽な気持ちできているかもしれないけど、俺らは派遣会社に1万5000円も払っているんだからよ』。実際私がもらっていたのは日当7000円だったから『あいつら半分もピンハネしてるのか』とビックリした。」 本書にはこのような例がいくつか載っている。 また、前述のように派遣会社の立場からのコメントもあるので、日本の労働現場の厳しい状況をひしひしと感じることができる。 一人暮らしならまだいいが、一家の大黒柱たる30~40代の労働者も派遣に切り替えられている。 このまま企業の言うなりでいいのだろうか。 企業の生産規模削減による「派遣切り」「内定取り消し」が相次ぐ今の時代だからこそ、本書でその実態を知ってほしい。
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