大東亜戦争の指揮官たち の商品レビュー
タイトルは「大東亜戦争の指揮官たち」ですが、軍人に限らずこの時代を彩った人が紹介されています。 特にイデオロギー的に偏ったところもなく、なかなか興味深い話も交えこの時代の人々のキャラクターが紹介されています。 ただ、何点か史実と異なる説明がある点が残念なところです。 例えば栗林...
タイトルは「大東亜戦争の指揮官たち」ですが、軍人に限らずこの時代を彩った人が紹介されています。 特にイデオロギー的に偏ったところもなく、なかなか興味深い話も交えこの時代の人々のキャラクターが紹介されています。 ただ、何点か史実と異なる説明がある点が残念なところです。 例えば栗林忠道は死後、大将に昇進したと記載されていますが、実際は生前に大将に昇進されています。(日本陸軍史上最年少)
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現代を生きる人々からまるで悪の権化のように批判される大東亜戦争当時の指導者達。我々は2つの大切なことを忘れているのではないでしょうか。 一つは、当時の状況と価値観。近隣の国々が次々と欧米諸国に侵略され植民地化されている中で、日本もまた国家存亡の危機に瀕していた状況を、現代を生きる...
現代を生きる人々からまるで悪の権化のように批判される大東亜戦争当時の指導者達。我々は2つの大切なことを忘れているのではないでしょうか。 一つは、当時の状況と価値観。近隣の国々が次々と欧米諸国に侵略され植民地化されている中で、日本もまた国家存亡の危機に瀕していた状況を、現代を生きる我々は少しでも本質的な意味において理解できているのでしょうか。同時に、そのような状況の中でどのような価値観を我々の祖先はもっていたのでしょうか。現代の価値観で過去を評価することは、もっとも愚かで無責任なことであることは自明のこと。それならば、我々は当時の状況と価値観を知る努力をする義務があります。 二つ目は、当時の指導者達も我々と同じ一人の人間であり、一人の日本人であるということ。歴史上にだけ偉人やスーパーマンが存在する訳ではありません。我々が生きるこの時代も、年月を重ねればそのまま歴史となり、現代に生きる我々一人一人が偉人になりスーパーマンになっていくのです。現代もまた、当時とは異なる状況とはいえ、国家存亡の危機にあることには変わりません。他人事のように批判していれば良いという話ではありません。 これら2つの大切なこと考えるのにとても参考になる一冊が本書です。大東亜戦争当時の指導者一人一人に丁寧に焦点をあて、当時の状況とその人の考え方・性格・行動・果たした役割を良い意味でも悪い意味でも過剰な装飾をすることなく、明らかにしてくれます。 本書のあとがきで著者は次のように結んでいます。「筆を擱(お)いてみれば、ここに登場したすべての日本人が国を憂い、アジアの解放を願い、そして妻や子の将来に思いをいたして生きていたことがまざまざと分かる。かって、このように美しい矜持や誇りに燃えた人々がいたことが、少しでも伝われば幸いである。」 全53名に焦点をあてた大東亜戦争人物列伝。本書を貫く冷静で飾らない、それでいて温かい文体。それにも関わらず、いやそうであるからこそ、日本人として生まれた幸せと誇りが溢れ出す一冊です。
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