信さん の商品レビュー
渇いた心に大人の愛を求めてた『信さん』。弱いものには手を差し伸べる優しい『信さん』。真っ直ぐな瞳で一生懸命駆け抜けた『信さん』。本当に本当に力強く生きる『信さん』。昭和の九州の炭鉱町を舞台にガムシャラに駆け抜けた少年時代。まるであの頃共に過ごした錯覚に陥る情景描写。そのセピア色...
渇いた心に大人の愛を求めてた『信さん』。弱いものには手を差し伸べる優しい『信さん』。真っ直ぐな瞳で一生懸命駆け抜けた『信さん』。本当に本当に力強く生きる『信さん』。昭和の九州の炭鉱町を舞台にガムシャラに駆け抜けた少年時代。まるであの頃共に過ごした錯覚に陥る情景描写。そのセピア色の世界に染まりながら『本当の強い人間』を知る。読了後は猛烈に切なく無念な思いしかない(涙)。もう1編の朝鮮人親子の話も『本当の強い人間』の話である。辻内さん、何とかガッツリ長編もの書いてくれないだろうか。切に願う。
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『青空のルーレット』『いつでも夢を』の辻内智貴さんの本です。 予想通り、昼休み2回で読了。 物足りなーーーい!!! 上に挙げた2つは最高に好きなんだけどなぁ~ あ、『ラストシネマ』もなかなか。 けど、『ラストシネマ』『帰郷』あたりとどうもかぶってしまって なんだか違う本を読ん...
『青空のルーレット』『いつでも夢を』の辻内智貴さんの本です。 予想通り、昼休み2回で読了。 物足りなーーーい!!! 上に挙げた2つは最高に好きなんだけどなぁ~ あ、『ラストシネマ』もなかなか。 けど、『ラストシネマ』『帰郷』あたりとどうもかぶってしまって なんだか違う本を読んだ気がしませんでした。 大好きな作家さんだけにちょっと残念。 個人的には『セイジ』も微妙だったし、 今後も彼の本を読むか分からないなぁ~ 根っからの作家じゃないから難しいのかもしれないけど、 ジャンルや雰囲気の違う長編の物語を読んでみたいんだけどな。 ま、こう言いつつも未読の作品には手を出してしまうんだろうな。 好きだからこそ不満も出てくる。 不満が出てきてもやっぱり好き。 なんか真剣な恋愛とおんなじやね。
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内向的な主人公と母親 町内でも有名なフダツキ信さん 三人の人生がヒョンなことで交わり物語は進んで行く 郷愁溢れる情景の中で 多くを語らないことで 読者に想像を膨らませさせる 後半に収録されている 遥い町(とおいまち)にも共通して言えるのは 生き様
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まとめ買いした辻内智貴の2冊目。 相変わらず、じ~んとする内容と特徴的な言葉選び。 幼い頃に感じる憧れとか恋心とか友情とか、そういったものがたくさん込められているんだけれど、そのどれもがきっとみんな一度は感じたことがあるものばかり。 自分のことじゃないのに、なんだか懐かしい気...
まとめ買いした辻内智貴の2冊目。 相変わらず、じ~んとする内容と特徴的な言葉選び。 幼い頃に感じる憧れとか恋心とか友情とか、そういったものがたくさん込められているんだけれど、そのどれもがきっとみんな一度は感じたことがあるものばかり。 自分のことじゃないのに、なんだか懐かしい気分になる。 でも、ちょっと消化不良。 お話はちゃんと完結しているんだけれど、なんだか尻切れトンボな感じ。 もうあとちょっとでいいから、先まで書いて欲しかった。 せめてもう一度、お母さんに登場してもらいたかったなぁ。
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いずれも九州の炭鉱町、おそらく昭和30年代を舞台に、少年の姿を描いた作品です。 「信さん」は主人公の私の友人だった信さんの話。彼は養子として引き取られ、後に実子が出来たために追いやられ、実像以上に「フダツキ」と見なされていた。しかしある事をきっかけに、私の母を敬愛するようになり、...
いずれも九州の炭鉱町、おそらく昭和30年代を舞台に、少年の姿を描いた作品です。 「信さん」は主人公の私の友人だった信さんの話。彼は養子として引き取られ、後に実子が出来たために追いやられ、実像以上に「フダツキ」と見なされていた。しかしある事をきっかけに、私の母を敬愛するようになり、見事にその本性である優しさを花開かせて行く。「遥い町」は戦時中に強制徴用された朝鮮人労働者の息子・ヨン君の話。主人公の友だちだったヨン君は、ガキ大将たちのいわれの無いいじめに耐えていたが。。。 どちらも心を洗うような綺麗な話です。 毎度のことなんだけど、この人の作品はありえないほど奇麗事かも知れません。でもやっぱり読むとホッとします。 解説の「青空フェチ」論が秀逸でした。併録の「遥い町」の一文、 『そこには金持ちも貧乏もなく、町長の息子も、坑夫の息子もなく、ひとりひとりが、ただ、名も無い青空の子供でしかなかったような気がする。』 確かにこの人の作品には、子供の頃に見た抜けるような青空が良く出てきます。 それが清清しさに繋がっているのかもしれません。
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ひとことで言ってしまうと、古き良き昭和の人情話。 淡々と描写される優しい日常の風景と人物のディテールに、ノスタルジーがこみ上げます。 でも、ただの懐古趣味とか古くさい貧乏美談とか、そんなよくあるお涙ちょうだい話ではないんです。 心の綺麗な未亡人と、親子ほど歳の離れた複雑な生い立ち...
ひとことで言ってしまうと、古き良き昭和の人情話。 淡々と描写される優しい日常の風景と人物のディテールに、ノスタルジーがこみ上げます。 でも、ただの懐古趣味とか古くさい貧乏美談とか、そんなよくあるお涙ちょうだい話ではないんです。 心の綺麗な未亡人と、親子ほど歳の離れた複雑な生い立ちの少年・信さんとの、恋にならないような、否、恋にはあえてしなかった、微妙かつ繊細な心の交流が、レトロな世界観の中で、美しく切なく描かれています。それを綴るのが、信さんの唯一の親友であり、未亡人の息子であるという点において、この物語の秀逸さ、卓越性を限界まで高めていると思うのです。 良質かつ美しい家族小説でもあります。
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