たった3行でわかる現代史 の商品レビュー
「第二次世界大戦前夜の世界恐慌から21世紀の現在」(p.6)、具体的には2001年の同時多発テロと2003年のイラク戦争まで、「ひとつの歴史事項が見開き1ページでまとめられ」(同)ており、「まず右ページに『3行』で事項の概要を、そしてそのまま、左ページに目を移すと、事項の説明や...
「第二次世界大戦前夜の世界恐慌から21世紀の現在」(p.6)、具体的には2001年の同時多発テロと2003年のイラク戦争まで、「ひとつの歴史事項が見開き1ページでまとめられ」(同)ており、「まず右ページに『3行』で事項の概要を、そしてそのまま、左ページに目を移すと、事項の説明や関連事項が質問形式で紹介されて」(同)いるという本。ただ「3行」と言っても、実際右ページが3行になっている事項はなく、1986年の「フィリピン2月革命」なんか9行になっている。という訳で、3行というより、3文で紹介されている、というのが正しい。 たぶん普通に知っている人なら、別に大した本ではなく、ただ事実とその背景が列挙されている、どちらかと言えば教科書、もっと言ってしまえばとても初心者向けに易しくした用語集、のような感じだが、文字通り初心者のおれには、これくらいでちょうど良い。そんなに面白味もないけれど、とりあえず誰がどうしてどうなった、という概要はつかむことが出来る。本当はもっと『東大のディープな~』シリーズにあるような面白さや奥深さがあった方がいいのだろうけど、広く浅く概要を知るには、こういう本もあって良いのではないだろうかと思うが、記述の内容がどれくらい端折られているのかとか、どれくらい本質的なのかとか、そういうことはおれには分からないので、やっぱり何とも言えない。あとはとにかく起こった年順になっているので、例えば1983年以降は、「グレナダ侵攻」、「ペレストロイカ」、「フィリピン2月革命」、「チェルノブイリ原発事故」、「中距離核戦力全廃条約」、「昭和天皇崩御」、「天安門事件」、「東欧革命」…みたいな感じで、アメリカ、ロシア、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、日本がごちゃ混ぜに出てくるので、そこだけは頭の切り替えが必要なところなのかもしれない。というか、やっぱり中東のことはほんと難しいなあと思った。 以下、この本で面白いと思ったところをメモ。まず毛沢東の説明の中で「大躍進政策」の失敗を語る部分、「ソ連のスターリンをはじめ、共産主義国家の実権を握った権力者にありがちなことですが、毛沢東の思想も現実離れしたところがありました」(p.120)という部分、なんか納得した。共産主義自体が現実離れしている、ということなんだろうか。あとはニクソン・ショックの説明のところで、「世界恐慌後、先進国が保護貿易政策をとったことにより、ドイツや日本がはじき出されて右傾化していった…」(p.127)とあり、すごい単純に言えばそういうことなんだろうか、と思った。あと「ソ連のアフガニスタン侵攻」のところ、「アメリカの後ろ盾を得て円に抵抗した義勇兵のなかには、のちに反米に走ってアメリカ同時多発テロを指揮するウサマ・ビンラディンもいました」(p.151)なんて、すごい意外だった。あとは「大韓航空機撃墜事件」のところ、ブラックボックスの調査の結果、「パイロットのミスによる航路のずれが原因と判明。頻繁にあくびをする声が録音されていることから、時差ボケによる疲労があったとも推測されています。」(p.161)なんて、なんで針路がずれたんだろう、とずっと思ってたけど、本当にそんな理由なの、という感じで、戸惑ってしまう。最後にベルリンの壁が崩壊したきっかけが「言い間違い」という部分、「驚いたのが、何も聞かされていない検問所の警備隊です。戸惑いながら拒否していましたが、やがて検問が開けられ、数千人の人々が西ベルリンになだれ込みました。」(p.179)ということで、やっぱり数の力は怖い。そんなことで封鎖が破られるなんて、という感じだった。 教科書的な記述の中にも、知っている人には常識なのかもしれないけれど、それなりに上で述べたような面白ネタが挟まっていて、それなりに読めた本だった。(18/07/08)
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超入門書。 広く浅く現代史を知りたいなら 以前読んだ池上彰の 『そうだったのか!現代史』よりだいぶわかりやすい。
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