アスピリンの恋 の商品レビュー

太宰治【著】

2020/04/10

「駈込み訴え」「チャンス」「斜陽」（部分）「太田静子宛書簡」が納められていました。
絵画やこぎん刺しに彩られて、美しい本でした。
既読の作品がほとんどでしたが、初読の「チャンス」面白かったです。
「恋愛」は神聖なものではない、というのを太宰が言うと説得力あります。恋愛＝グロテスク、わかります。一度でも恋愛してみると、まともじゃない精神状態になるし…「とても、とても、神聖なものですか。」ほんと。

2013/07/11

狂おしいまでに
他の誰かを愛する、という感情について、は
子供の様に純粋な目を持つ人なんだなぁ。と、感じた。

あまりにも好きになりすぎて、
その人の事を

私だけのものにしたい。
私だけを見て欲しい。
私はこんなにつくしているのに、
何故、あなたは皆に優しい？
（そして、私には冷たい。）

何もわかってない。
あの人は
何もわかっちゃいないのだ。

だったら、
殺してしまおう。
私のこの手で、
あの人を。

冷ややかにキリストを裏切るユダの心情を描く
『駈けこみ訴え』

が、
焦点はユダの体を通り抜けて
キリキリとその内部へと侵入し、
誰かを慕ってやまない、その（中毒的な？）感情。

コレハイッタイ何ナノダ？

と、悶々と『愛』について慮るエッセイ『チャンス』

（他、一部抜粋の『斜陽』、太田静子宛書簡　全４編）

私は太宰作品をこれまで読んだ事はなかったが、
持ってたイメージとはだいぶ（違う人なんだな）と、感じた。

赤ん坊が初めてモノを見たときに
思う、ではなくて感じる、
そんな『直感的』心情の様な文章。

すごく面白かった。

作品に添うエル・グレコやゴッホなど、著名な画家達の美しい絵画の掲載も見応えがあって嬉しかった♪