残虐記 の商品レビュー
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誘拐監禁された10歳の少女の『普通の子ども』の世界が、抱えきれない程の体験によって歪められ、自分や周りを不信に巻き込んでいく描写がとてもリアルだった。がんじがらめになりながら、傷つかないように、崩れないように。
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最後の種明かしって言うか、背景になる解説もあって面白かったけど、読み終えてドヨーンっていう感じ。 少女誘拐事件では確かに話題性もあるし、未成年事件なので情報量も多くないと思うから、周りの第三者は勝手に軽薄な想像をしてしまうよね。 でも実際はどうなんだ。 文章内にある様に長期間の監...
最後の種明かしって言うか、背景になる解説もあって面白かったけど、読み終えてドヨーンっていう感じ。 少女誘拐事件では確かに話題性もあるし、未成年事件なので情報量も多くないと思うから、周りの第三者は勝手に軽薄な想像をしてしまうよね。 でも実際はどうなんだ。 文章内にある様に長期間の監禁生活がそうさせるのか、元々この様な想像豊かな性格がなせるものか、自分では恐ろしくて体験したくないから考えたくもないな。
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解説にもあったとおり「異様」というのが合っている。そしておもしろい。誘拐された少女が周りをどう見るのか感じるのか、また少女にとっての家族は味方なのか見栄えだけなのか。ヤタべさんの存在はわたしにとっても少女にとつてもこの小説ですごく重要だった。救いと裏切り、穴による喪失感がなんとも...
解説にもあったとおり「異様」というのが合っている。そしておもしろい。誘拐された少女が周りをどう見るのか感じるのか、また少女にとっての家族は味方なのか見栄えだけなのか。ヤタべさんの存在はわたしにとっても少女にとつてもこの小説ですごく重要だった。救いと裏切り、穴による喪失感がなんとも言えない。作者の思考回路もまた「異様」 ケンジと少女は似たものを感じ、憎しみあいながらも互いに支え合っていたのではないか。また事件によって固執される。最後、少女=妻はケンジに会いに行ったのだと思う。そして帰って来ない気がする。でもそこでまた2人あの時間を取り戻すように暮らすより、普通(ここでは何が普通かわからないが)に男と女として暮らすのではないだろうか。妻の毒の夢がどこまで本当かわからないが、性としてケンジを見られている気がする。 性に違和感を感じる人にはいいかもしれない。わたしもよかった。 p.226・理不尽な目に遭った子供は、必ず何かで精神の欠落や心の傷を補おうとするところから始める。 2022/02/12
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面白かった 女児誘拐犯のケンジがその犯行をした理由が人間の感情の複雑さを物語っててすごい 孤児だったケンジが初めてみた性的な現場が中性的な同じ孤児の男の子のみっちゃんのレイプだったこと、ケンジを拾ってたまにいたずらをしてた耳の聞こえないヤタベとの関係とかがケンジの性的嗜好とかを歪ませたのかな 女児誘拐ってきいたら大半の人がロリコンって思うけど、実はヤタベさんからのアテンションが目的だったとかがストーリーが進むにつれわかっていって人間が起こした事件の背景は想像を絶するなと思った そんなストーリーかけるのすごい
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想像されることの屈辱と想像することの力。幾層にもなる登場人物たちの関係性と繊細な文章表現からなる退廃的な空気に引き込まれた。
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2021.12.13読了 2回目 「本当のことというのは1番難しいことでしょう。僕は鉄棒ができない。バランスが悪いから滑り台にも登るなと言われて育った。それで様々なことを想像しましたよ。幻の鉄棒、夢の中のブランコ、滑り台。それは現実の姿とは多分違っているでしょう。ほんの少しね。...
2021.12.13読了 2回目 「本当のことというのは1番難しいことでしょう。僕は鉄棒ができない。バランスが悪いから滑り台にも登るなと言われて育った。それで様々なことを想像しましたよ。幻の鉄棒、夢の中のブランコ、滑り台。それは現実の姿とは多分違っているでしょう。ほんの少しね。あなたが事実を言ったと思ったら、僕はあなたの想像力とあなたの真実との溝についてまた想像するのです。そうやっていくらでも伸びていく想像のために知りたいのです」(p227)
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どこまでが真実なのか分からないのでもやもやする。 それにしても主人公が書いた小説「泥のごとく」が凄まじくて強烈だった。よくこんなことを想像して書けるなという気持ちと本当にありそうな話だと思う気持ちが半分半分。 気持ち悪いけどこの気持ち悪さを求めてまた桐野さんの作品を読んでしま...
どこまでが真実なのか分からないのでもやもやする。 それにしても主人公が書いた小説「泥のごとく」が凄まじくて強烈だった。よくこんなことを想像して書けるなという気持ちと本当にありそうな話だと思う気持ちが半分半分。 気持ち悪いけどこの気持ち悪さを求めてまた桐野さんの作品を読んでしまう。
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桐野夏生さんの本を初めて最後まで読んだ。 桐野さんの本は自分にとっては グロい。 途中で気持ち悪くなるようなことが次々と出てくる。 きみが悪いな、気持ち悪いなと。 この残虐記にしてもケンジの部屋の汚さ、ケンジの汚さ、工場の汚さ読んでいるだけで気持ちが悪くなるような表現がでてくる。...
桐野夏生さんの本を初めて最後まで読んだ。 桐野さんの本は自分にとっては グロい。 途中で気持ち悪くなるようなことが次々と出てくる。 きみが悪いな、気持ち悪いなと。 この残虐記にしてもケンジの部屋の汚さ、ケンジの汚さ、工場の汚さ読んでいるだけで気持ちが悪くなるような表現がでてくる。 残虐記は初めは少女誘拐監禁という事件の残虐さについてかと思ったが、登場人物全員に共通した残虐さだった。
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めちゃくちゃ好きな雰囲気の話。 結局誰も悪くないように思えてしまう、とんでもない錯覚に落ちいったのが初めての読書観であったし、この小児性の犯罪においてつきまとう社会のいやらしい目、ただその事件にある真実。皆が思うこうであると言う感覚を壊してくれるストーリー展開で、ただ主人公は自分...
めちゃくちゃ好きな雰囲気の話。 結局誰も悪くないように思えてしまう、とんでもない錯覚に落ちいったのが初めての読書観であったし、この小児性の犯罪においてつきまとう社会のいやらしい目、ただその事件にある真実。皆が思うこうであると言う感覚を壊してくれるストーリー展開で、ただ主人公は自分が起きたことを正当化させるためにケンジのバックボーンを作りあげるためにこういう物語を生んでいったんだなと悲しくなることもある、どれが真実なのか?という面白さがあった。
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ふわー暗い重い、、、この方の書く性ってなんでこんな生々しくて気分の沈むものなのか。凄すぎる。性も愛も一辺倒ではいかない自分の知らない形があるんだなと思い知るな。
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