木洩れ日に泳ぐ魚 の商品レビュー
さほど長くない小説なのに 数年間の出来事や体験がぎっしり。 最初から最後まで目が離せない一冊でした。
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まずお互いの立ち位置さえ曖昧でお互いに疑心暗鬼な男女が引っ越し前夜、蓋をしていた記憶を辿ることで自分を見つめ直し謎が解き明かされていくモヤっとした物語。 気になったフレーズ 穏やかな生活、地に足のついた、常識的な生活。それが果てしのない檻に思えた。どこまでも続く、優しさと常識...
まずお互いの立ち位置さえ曖昧でお互いに疑心暗鬼な男女が引っ越し前夜、蓋をしていた記憶を辿ることで自分を見つめ直し謎が解き明かされていくモヤっとした物語。 気になったフレーズ 穏やかな生活、地に足のついた、常識的な生活。それが果てしのない檻に思えた。どこまでも続く、優しさと常識という柔らかい縄に絡め取られた、見えない檻。 障害があるからこそ燃え上がる恋。障害が障害でなかったと知った途端これほどまでに気持ちが冷めるとは。 私が彼を好きだったのは、彼が私を好きだったから。私は私を好いてくれる彼が好きだったのであって、彼を好きだったから付き合っていたわけではなかった。 ただ好いている方は相手が自分の好意に真に応えているのかそうでないかを瞬時に見破るもの。 なるほど心中というのはある意味の成就。それぞれの命をもって子孫を残すことを否定するのだから。
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わずかひと晩の時間の流れの中で、こんなにもひとの感情の移り変わりを描いていく作品。 読み始めはヒロ目線で読んでいたが後半になればなるほどアキ目線に移っていく。 物語が真相に近づくにつれ、予想だにしなかったことがどんどんと溢れてきて物語を加速していく
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数時間の時間の流れを、この分量で表現する恩田陸。 力量を感じる本である。 お互いの視点で物語を進行させようとしている点も面白い。 いろんな点でずるい男。 感の働きすぎる女。 テーマ性は強く感じることができなかったけれど、 話はそれなりに面白いので 何か読みたいなーという人にはおす...
数時間の時間の流れを、この分量で表現する恩田陸。 力量を感じる本である。 お互いの視点で物語を進行させようとしている点も面白い。 いろんな点でずるい男。 感の働きすぎる女。 テーマ性は強く感じることができなかったけれど、 話はそれなりに面白いので 何か読みたいなーという人にはおすすめかも。
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3.4 心理戦です。 内容の殆どがその描写につかわれてます。 サスペンス風でもあり、ミステリーでもあり、 読むのはちょっと疲れます。
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話は全く異なるけど映画メメントをなんとなく思い出した。 くらい部屋の一角のスポットライトから徐々に明かりが広がり、全体像が見えてくる感じ。 一度さらされた姿を見てしまうと、見えなかった時に感じていた姿は別物だったと気づく。
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※このレビューにはネタバレを含みます
始めは、恋人同士の別れの場面だと思った。 次に、彼女が殺した?彼が殺した?2人に転機になる出来事があり、ミステリーの形状を成してくる。 そして、徐々に、単なる恋人同士でないことが分かる。お互い付き合っている人がいてもちっともおかしくない。だけど、そう単純にはいかないところに二人の苦悩がある。やり取りは完全に恋人同士のそれだ。 1章ごとに視点が入れ替わるのは面白い。最後の謎解きは、一応筋は通っているけれど、真実だったかどうかは分からない。現実そんな理由で入れ替われるかなと思った。二人がきょうだいでなく、想いが成就すればいいのに、と途中では思っていたが、きょうだいであるからこそ意味があったのかもしれない。彼の方には多分に未練があるようだけれど、それでもどちらにでも進めばいい。屈託のないように見える実沙子にだって、秘密があるのかもしれないのだから。1度も結ばれることがなくても、二人の時間は濃厚だったのだからそれでいいのかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ある男の転落死の真相が明らかになっていく、という側面もあるがサスペンス感はあまりなく、ヒロとアキの心理描写が中心の物語。 一夜にして2人の関係性や気持ちがどんどん変わっていく。 夜中の非現実的な空気感がよく現れているせいか、今回の話にはファンタジー要素はないはずなのに、どこか幻想的な雰囲気があった。
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すごく個人的な意見なんだけれども、改行が多くて読みづらかった。ハードカバーだから?文庫本だと違うのだろうか。文章の端々もなんだか軽く感じられて言葉の重みに欠けるというか、、、恩田陸作品は初期の頃なら読んだことがあったのだけれど、そのときはそんな違和感覚えなかったなあ、こんな文体だ...
すごく個人的な意見なんだけれども、改行が多くて読みづらかった。ハードカバーだから?文庫本だと違うのだろうか。文章の端々もなんだか軽く感じられて言葉の重みに欠けるというか、、、恩田陸作品は初期の頃なら読んだことがあったのだけれど、そのときはそんな違和感覚えなかったなあ、こんな文体だったっけ?私の時間が流れたからかな?でも内容的には面白い。謎が重なり合って、推測が追いついたと思ったらひっくり返されての繰り返し。そこに男女のいかにも粘土の高い思惑、狡猾さ、酷薄さが絡み合ってよりいっそう物語に湿り気を持たせる。特に女側の独白は覚えのある感情ばかりで身に沁みるなあ。なんで女って一つの恋(もしくは愛)が終わったときにあれは錯覚だった夢だった本物じゃなかったんだって思いたがるんだろう。そういうものとして置いておけばいいのに、、、と自分を振り返りつつ考えてみる。でも結局終わった過去のことはどうでもいいなって思ってしまう酷薄さが、男女の違いが、よく表現されてる物語だなと思った。
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別れ話が一転して殺人の告白かと思いきや自分たちの過去をたどるといった一幕ものの芝居を見ているようだった.
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