バーチウッド の商品レビュー
不思議な感触の本。舞台はアイルランドみたいだけれど、それとははっきりとはわかならい。私のせいか。ともかく、ビルドゥングスロマンであり、幻想文学っぽくもある。そりゃ、佐藤亜紀も訳すよねといったところか。
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語り手である「私」は、語り手という役割をもって、語られる中にいる私自身の歴史の外、視野の外まで含んで物語を進めていく。読み手である私はいくつもの謎を含んだままの断片を拾い集めて物語を追っていく。幻を見ていくみたいにして。最後まで読み終わり、もう一度はじめから読み返す。すると、語り...
語り手である「私」は、語り手という役割をもって、語られる中にいる私自身の歴史の外、視野の外まで含んで物語を進めていく。読み手である私はいくつもの謎を含んだままの断片を拾い集めて物語を追っていく。幻を見ていくみたいにして。最後まで読み終わり、もう一度はじめから読み返す。すると、語り手である「私」と同じ時制といくつかの記憶を持った読み手の中に、物語が立ち上がってくる。その体験がすごい。文体は誰も耳を貸さなくなった酔っ払いのもののように、虚構と真実めいたものが同時にあるような。絢爛としていて冷静で自虐的で美しいです。アイルランドという土地を思います。
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すごいすごい! 最後まで読み終わったらはじめを読み返してみるべき。文体も(たぶん訳も)いろいろ意識してるなーこれ。すごく練られた小説ですよ。
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●文体や邪悪さ加減は違うけど、没落した一族やら怪しいサーカス団やらの扱いに、なんだか最近のいしいしんじ作品を連想しました。こっちまで腐臭が漂ってきそうなほど絢爛と描くか、可愛らしく書くかの違いじゃないかと思いつつ自分の勘違いかも。むう。 ●訳者あとがきにもあるとおり、最後まで読ん...
●文体や邪悪さ加減は違うけど、没落した一族やら怪しいサーカス団やらの扱いに、なんだか最近のいしいしんじ作品を連想しました。こっちまで腐臭が漂ってきそうなほど絢爛と描くか、可愛らしく書くかの違いじゃないかと思いつつ自分の勘違いかも。むう。 ●訳者あとがきにもあるとおり、最後まで読んでから、もう一度最初に戻るといろいろと腑に落ちます。なるほどねー! 大団円。←や、個々の見解の相違はございましょうが・・・。
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