群青に仇花の咲く の商品レビュー
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吉原の大店で男花魁として裏看板を張る佳雨。当代きっての美貌とうたわれた姉の美しさを受け継いで、凜として咲き誇る一輪の仇花。自ら選んだ生きる道という矜持を胸に毎晩男たちにつかの間の夢を売る。 花街で育った佳雨には偽りの恋の駆け引きも手練手管もすっかりその体に馴染んでいる。 そんな佳雨でも思い通りにできない男がひとりいた。 老舗骨董屋の若旦那、百目鬼久弥だ。英国帰りの久弥の洗練された身のこなし。育ちの良さが滲みでる端正な顔立ち。ほれぼれするようないい男。なじみ客として通ってくるのはいいけれど、来れば佳雨の膝まくらに飽きもせず他愛のないお喋りに明け暮れるだけ。世慣れた振りもおぼこい振りも息をするぐらい自然にできるのに、久弥の前ではどうにも上手くいかない。どうやら自分は本気で久弥に惚れてしまっているらしい。 久弥が自分の元に通い始めた本当の理由を明かされて、男花魁としてのプライドと初めての本気の恋の狭間で佳雨は揺れ動く。 どんなに久弥に心を傾けても、夜毎男達に春を売る身の上。でも花魁として生きる自分を決して憐れんだりしない。佳雨の誇り高くも一途な想いに、つらい恋になるからと一度は背を向ける久弥も覚悟を決める。 百目鬼堂の骨董紛失事件とふたりの恋の始まりを絡めた粋で艶やかな一冊。これからの行く末がとてもとても楽しみ。
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あらすじ 佳雨は、色街でも三本の指に入る大見世「翠雨楼」の売れっ子男花魁。 粋な遊び人である老舗骨董商の若旦那・百目鬼久弥が佳雨の馴染み客になって半年が経つ。 誰にも恋をしたことがない佳雨だったが、実は久弥に恋をしている。 しかし久弥は抱いてはくれない。 ある日、花魁の心...
あらすじ 佳雨は、色街でも三本の指に入る大見世「翠雨楼」の売れっ子男花魁。 粋な遊び人である老舗骨董商の若旦那・百目鬼久弥が佳雨の馴染み客になって半年が経つ。 誰にも恋をしたことがない佳雨だったが、実は久弥に恋をしている。 しかし久弥は抱いてはくれない。 ある日、花魁の心中事件が。 その事件を調べている久弥を手伝っていた佳雨が襲われ―。
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老舗骨董店の若旦那と、男花魁のミステリー風味な遊郭シリーズ。 骨董品にミステリーに花魁とか、どんだけ盛り込んでんだと思うんですが、これがよく出来ています。 ありがちな遊郭ものとはちょっと一線を画してます。 わざわざ『男花魁』というくらいなので、女の格好させただけのお人形さんBLじゃない。 自分はあくまで『男花魁』という仕事に真剣に向き合っている、という姿勢があって、プライドもあって、決して自分を悲劇の主人公にしない。 なので、安易に身請けで終了どころか、身請けされる気さらさらなし。 そんな矜持の高い受が、老舗骨董店の若様な攻に惚れて、やきもきする感じです。 煮え切らない態度や言動や行動に、花魁としての立場から葛藤し、駆け引きしてみたりなんやらと、まぁとにかく一途で健気。 なのに凛として気っ風がよく格好いい。 思わず次の巻に手が出ました。 遊郭ものなのに、桃色シーンが少ないのがまたいい。
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色街でも有名な「翠雨楼」の売れっ子花魁・佳雨はお客の骨董商・百目鬼久弥の事を密かに思っている。しかし久弥は佳雨を一度も抱かず話だけをして帰ってしまう。 そんな中、その色街で花魁の心中事件が起こり。 心中事件と紛失している骨董とが横軸にありある意味ミステリー。 そして久弥の心が...
色街でも有名な「翠雨楼」の売れっ子花魁・佳雨はお客の骨董商・百目鬼久弥の事を密かに思っている。しかし久弥は佳雨を一度も抱かず話だけをして帰ってしまう。 そんな中、その色街で花魁の心中事件が起こり。 心中事件と紛失している骨董とが横軸にありある意味ミステリー。 そして久弥の心が掴めず切ない思いで悶々とする佳雨。 店一の花魁である矜持のある佳雨とお客である久弥。切なかった。 遊郭物って結局女みたいに身請けして終わりじゃない。そこを切なく書いてあります。しかも久弥は花魁としての佳雨も好きと贅沢な事を言う訳で。 シリーズで続くのですがこの調子で切ないのだろうなぁ。 Hシーンは少ないです。ま、神奈木先生なので(笑)
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08/6/30 骨董屋の若旦那×男花魁。 イラストが穂波さんだったのでジャケ買いですw 受の好きな人を想ういじらしい部分と花魁に対しての男らしいプライドのギャップが良かったです。 『心の中じゃ、いつだって"はい"と言ってましたから』214P
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しっとりとしたイラストに惹かれて、いわゆる「ジャケ買い」でしたが、内容もしっかりしていてミステリ風で良かったです。ただ、時代設定が昭和初期のイメージで読んでいたのですが、時折現代っぽさが引っかかるところがあったので、やや残念かな、と(特に時代設定とかはされてないのかも?)
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