東京裁判 下 の商品レビュー
前巻に引き続く力作。…
前巻に引き続く力作。朝日文庫版が淡々とした記録であるのに対して戦史家らしい鋭い視点で描いた作品。今年でた新装版は3巻構成である。
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いよいよ裁判は判決の…
いよいよ裁判は判決のクライマックスへ。後世に残る名著だが記録としては写真などがなく物足りないが。
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国家の行為に関して、国家の機関であったがゆえに個人が個人責任をおうという法理は、古今東西に例をみないという弁護団の主張。 検事側が侵略思想とみなす「八紘一宇」は、太平洋戦争前の日米諒解案で「ユニバーサル・ブラザーフッド」(世界同胞主義)と訳され、同じく「皇道」は「治者と被治...
国家の行為に関して、国家の機関であったがゆえに個人が個人責任をおうという法理は、古今東西に例をみないという弁護団の主張。 検事側が侵略思想とみなす「八紘一宇」は、太平洋戦争前の日米諒解案で「ユニバーサル・ブラザーフッド」(世界同胞主義)と訳され、同じく「皇道」は「治者と被治者が一心になること」、つまりは「皇道とデモクラシーと、二つの思想の間に本質的な差」はない。 清瀬弁護人の論が真っ当に思えるが。 東京裁判は結局は政治的戦争責任の追及を目的とする。そして、政治的責任は共同謀議、戦争の遂行、戦争法規違反の三つを犯罪カテゴリーにすれば、十分であり、他の細かい訴因も包含され得る、と判決はいう。 起訴状伝達が天皇誕生日の天長節、判決朗読開始が日本の建国を祝う紀元節、A級戦犯処刑が皇太子誕生日。何かの意図があったのだろうか。
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人種闘争の終焉がこのような形とは、、なんとも言えない虚脱感。有色人種の歴史の針を戻してしまったのが、、残念。日本の大東亜共栄圏、八紘一宇は、白人にとっては脅威そのものだったんだなぁ。綿密な計算の元破れた大東亜戦争。7人の御霊で人種差別を撤廃したと 考えると凄いことだと改めて感じる...
人種闘争の終焉がこのような形とは、、なんとも言えない虚脱感。有色人種の歴史の針を戻してしまったのが、、残念。日本の大東亜共栄圏、八紘一宇は、白人にとっては脅威そのものだったんだなぁ。綿密な計算の元破れた大東亜戦争。7人の御霊で人種差別を撤廃したと 考えると凄いことだと改めて感じる。日本は世界の指針を指し示すポテンシャルがある。蘇らせたい。改憲が1つの手段だな。。しかし、最後のdeath by hanging。悔しいなぁ。
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非常に大勢の人物が登場し、わかりにくくなるところ、何人かに焦点を当て、非常に読みやすい。本書を手掛かりに類書で理解を深めたい。 結局、判決の大筋は最初から決まっていたようなものか。
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1971年刊。◆読みやすく一気呵成に読了。判決~刑執行まで(11~12章)の情景が目に浮かぶように叙述。また、随所に被告人の立場がまるで敗者日本の同一であるかのように書く。そんな一体性は擬制でしかないが、かかる観点からすれば、検察側証人の田中少将は「裏切り者」になるのだろう。◆が、そう単純ではない。田中少将の暴露事実は、誇張を割り引いても、当時の国民が全く知らなかった事実を開示したものだ。つまり、国民の目線から見れば、英雄的行動ともいえる。しかも、神崎弁護人は、田中証言が検察側に不利な内容を含むと見る。 このように双方に有利な証言は、第三者性が高く、信憑性が高いと見るべきで、田中少将が事実を述べているのであれば、非難されるいわれはない。逆に、これを隠蔽してきた軍人側こそ非難されるべきである。まして、裏切り者呼ばわりするのは笑止千万というほかはない。◆ある種一方的ではあるが、本書のような読みやすく文章力のある著者の叙述する書籍の怖い点、誤読・曲解を生んでしまう。そう、ウェッブ裁判長の述懐にある如く、戦犯として死刑に処せられるのが「殉教者を生み出す」ことを、本書が助長する点だ。 ◆記録未見で正確にはいえないが、東京裁判の状況から見て、弁護側が注力すべきは、管轄権問題を除き、①日中戦争の自衛性(長期の軍隊駐留から見て無理筋)、②日中戦争と太平洋戦争との異別。この弁護側立証が簡単にしか触れられない、かつ、弁護側立証の悉くの却下は、立証の焦点ボケが予想されるが、何れも本書で十分触れられず、内実は未開陳。◆東京裁判の構図としては、責任者として日中戦争時の広田(首相近衞は既に自決)外相が、太平洋戦争時の東条首相が死刑に科されたよう。両戦争の一体性が否定されない以上当然の帰結か。 ◆最後に、東京裁判判決後、審理の適法性を争うべく、弁護側が米国最高裁に提訴したところ、最高裁はこれを受理したという点は心底驚いた(結果は裁判権のないことを理由とする却下だが)。結果はともあれ、とりあえず審理をしたというところに、司法権の独立を強調する米国司法制度の力を見る思いだ。
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極東国際軍事裁判、いわゆる「東京裁判」に関しては KiKi 自身若い頃から「あの裁判は何だったのか?」という興味を持っていました。 そして大学生の頃にこの本を一度読んだことがあったのですが、今回久々に図書館で見つけたのを機に再読してみました。 正直なところ今回の読書では、学生時代にこの本を読んだ際に感じた大きなショックは感じられず(と言うのも当時の KiKi は東京裁判の実態をほとんど知らなかったのに対し、今回はどちらかと言えば「既知のこと」の再確認という感じだったので)、ところどころでその後入手して何回か観たことがあるこの記録映画(↓)のシーンを思い出すのみ・・・・・という感じでした。 東京裁判 ASIN: B00005F5X3 監督・脚本:小林正樹 原案: 稲垣俊 脚本:小笠原清 音楽: 武満徹 ナレーション: 佐藤慶 講談社 ある意味で日本人の劣等史観のベースにさえなり、「戦争犯罪」という実態がよくわからないものを裁くという摩訶不思議な裁判。 戦争裁判と言いつつも結果的に政治裁判だった裁判。 これを知らずに現代日本を語ることはできないと言っても過言ではない裁判。 そんな裁判がどんなものだったのかを俯瞰するにはよい書籍だと感じます。 それにしてもアメリカという国は面白い国だとつくづく感じます。 世界の超大国で先進国をリードする国であるというイメージだけは強いけれど、大統領選挙(特に予備選あたり)なんかは選挙というよりはお祭り騒ぎみたいなところがあるし、要するに劇場型というか、プレゼンテーション型というか、「人にいかにアピールするか」というマーケティングに近い様な行動には実に熱心です。 東京裁判にしてみても、一応「裁判」という形をとり、日本人の被告にアメリカ人の弁護人がついたりもして、しかもこのアメリカ人弁護人がおざなりな弁護をするのか?と言えば、日本人弁護団がもっと声高に主張してもよさそうなことまで頑張って主張したりもする。 一見、フェアに見えなくもないお膳立てはちゃんとするけれど、裁判そのものはある意味で「結論ありき」だし、多民族国家特有の「落としどころ」的な感覚は実に鋭い。 その後の国際紛争への関与の仕方などを見ていると、東京裁判では「有罪」と断罪されたようなことをあの裁判で裁く側だった国が平然と行っているのを見るにつけ、「戦争に敗れるということは、こういうことなんだな」と思わざるをえません。 実に良書だと思うけれど、残念なことを1つだけ挙げるとするならば、この本の中では占領政策と東京裁判の関連性に関する記述が極めて少ないことだと感じます。 天皇の責任問題という極めてデリケートなトピック絡みで若干は触れているものの、どこか足並みの揃わない検事側の背景やら、そもそもの極東国際軍事裁判開催決定時、その後の裁判中、そしてサンフランシスコ平和条約 & 日米安保条約に至る中でもっとも大きな流れを左右していたのは占領政策にこそあるわけで、そこはもっと触れて欲しかったなと感じました。 最後に・・・・・・ 年寄りの冷や水的な意見を1つ。 今では日本屈指の歓楽街の1つとも言える池袋はサンシャイン付近。 かつては池袋に住んでいた KiKi なのであの辺りはよく行ったんだけど、あそこらへん一帯でキャアキャア騒ぎ、遊び呆けている若い人たちを見る度に KiKi は思ったものでした。 「知ってる?? この辺はかつては巣鴨プリズンがあったんだよ?? 巣鴨プリズンって知ってる?? あ、じゃあA級戦犯って知ってる?? 東京裁判は?? ここは東京裁判の時、A級戦犯とされた人たちが収容されていて、結審後は処刑が行われた場所なんだよ。」 ってね。 もちろんだからと言って避けて通れとか、ここでは合掌しろとかそんなことが言いたいわけではありません。 せっかくできたサンシャイン60ですから、そこを平和的に使用し、多くの人が楽しい思い出を作る場所になるのはそれはそれでいいことだと思います。 でもね、何となく、何となくではあるものの、単なる遊び場という意識のみならず、その土地にまつわる日本の歴史を知って欲しいなぁと思わずにはいられないのです。
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「米政府およびマッカーサー元帥は、天皇の起訴は望んでいない。米国は、天皇は占領政策の成功、日本の赤化防止、日本の団結のために必要な存在だと考えている。」ここから戦後処理の口火が切られたと言えそうだ。 それはさておき、この極東国際軍事裁判の流れを知るにつれ、果たしてこの世に客観性や...
「米政府およびマッカーサー元帥は、天皇の起訴は望んでいない。米国は、天皇は占領政策の成功、日本の赤化防止、日本の団結のために必要な存在だと考えている。」ここから戦後処理の口火が切られたと言えそうだ。 それはさておき、この極東国際軍事裁判の流れを知るにつれ、果たしてこの世に客観性や公平性なるものが今だかって存在したためしがあったのだろうかと思えてくる。
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[ 内容 ] [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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・下巻。誰も予想しなかった文官広田弘毅の死刑判決。 ・死刑判決を受けた7名は11人の判事の多数決で決められた。オーストラリア、ソ連には死刑が存在せず、フランス、インドの判事は死刑に意義を唱えていた。そのため残りの7人の判事の意見がどう割れるかによって死刑が決まったという事実に驚く...
・下巻。誰も予想しなかった文官広田弘毅の死刑判決。 ・死刑判決を受けた7名は11人の判事の多数決で決められた。オーストラリア、ソ連には死刑が存在せず、フランス、インドの判事は死刑に意義を唱えていた。そのため残りの7人の判事の意見がどう割れるかによって死刑が決まったという事実に驚く。中国はやはり強行に全員死刑と票を入れたのだろう。 ・名高いインドのパル判事の判決(?)だが、これは少数意見として意見書はまとめられたが法廷での朗読はウェッブ判事の判断により許されなかったということを知って驚いた。本書が書かれた1971年当時にはパル判事のこの少数意見については今ほど注目されていなかったのではないかとの感想を持った。まるでパル判事が全員無罪の判決を読み上げたかの様に思い込んでいた。現代の保守派はこの部分に殊更注目しすぎのきらいがあるかもしれない。しかし朗読も許されなかったとは。 ・そのウェッブ自身も少数意見で死刑に反対していたというのだから驚き。法廷を支配し続けたウェッブだったが、判決については11カ国の多数決が決定したということ。7人に対しては11カ国のうち過半数が死を望んだという事はとてもつらい。強行に死刑を唱えたであろう国の中に、個人的に関係の深いフィリピンが含まれているのがなおつらい。たしかに、現地で死の行進について責められた経験もあるが。。。 ・遺骨収集についての三文字弁護士の執念はすさまじい。線香さえ要しなければ完全な形で分骨できていたかもしれないということを知って驚くとともに、残念な思い。 ・南京事件についても当時は現在ほどの反証を用意することができずに、数字に誇張はあれどおおむね真実として法廷が進んでいて、当事者の松井石根自身も認めているという点を読んで、また考えさせられた。何が真実なのか。。。
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